一般

身分証明書の様式を一括して定める規則〜参考になる例規(1)

今、都道府県の例規にどのようなものがあるか確認しているところであり、興味が引かれた例規を取り上げていくこととしたい。第1回目は、身分証明書の様式を一括して定める規則である。 職員が立入調査等を行う場合に携帯する身分証明書の様式は、自治体では…

手数料の額の算定に関するメモ

食品衛生法に基づく登録検査機関は、その業務規程に検査手数料に関する事項を定めておかなければならないが(同法第37条第2項)、その手数料の額の定め方について、次のとおり厚生労働省から通知が出されている(食品衛生法規研究会『逐条解説食品衛生法』(…

組織の名称〜独立行政法人労働者健康安全機構

「独立行政法人に係る改革を推進するための厚生労働省関係法律の整備等に関する法律」(平成27年法律第17号)により、独立行政法人労働安全衛生総合研究所(安衛研)と独立行政法人労働者健康福祉機構(労福機構)を統合し、新法人の名称を「独立行政法人労…

都道府県条例と市町村条例の適用区分の規定に関するメモ

鹿児島大学の宇那木准教授は、都道府県条例において、市町村条例との間に競合関係が生じる場合の適用区分を定める規定のパターンを、次のとおり分類しているので(「自治体職員のための政策法務入門 都道府県と市町村条例1」『自治体法務研究NO.42』(P99〜)…

免状の規定

消防法に基づく危険物取扱者免状については、次の同法第13条の2の規定において、免状の種類のみ法律で規定し、その免状を有することで行うことのできる事務等については、省令に委任している。 第13条の2 危険物取扱者免状の種類は、甲種危険物取扱者免状…

新幹線鉄道騒音に係る環境基準の類型を当てはめる地域の指定を知事の権限としていることについて

環境基準とは、人の健康の保護及び生活環境の保全のうえで維持されることが望ましい基準として、終局的に、大気、水、土壌、騒音をどの程度に保つことを目標に施策を実施していくのかという目標を定めたものである(環境省ホームページ参照)。 環境基準につ…

手間がかかる法案審査

washitaさん経由 法案づくり省力化、政府が電子データ活用 職員の残業抑制政府は国家公務員の残業を減らすため、法案づくりの新システムを導入する。国のすべての法令をまとめたデータベースを作成し、現行法と改正案の新旧対照表などの文書をパソコン上で自…

マイナンバー法に基づく条例の立案の考え方

今回は、前回取り上げた水町弁護士のブログに記載されている次の問題そのものについて、少し触れてみることにします。 番号制度対応のために、地方公共団体では番号法第31条に基づき条例改正が必要となりますが、個人情報保護条例を改正する形にすべきでしょ…

審議会の委員の独立性

平成26年6月6日に成立した行政不服審査法に基づく行政不服審査会は、その委員の任命に当たり両議院の同意を得ることとされているが(同法第69条第1項)、その趣旨について、橋本博之ほか『新しい行政不服審査制度』(P204)には、次のように記載されている…

登録試験機関

平成26年6月13日に公布された「不当景品類及び不当表示防止法等の一部を改正する等の法律(平成26年法律第71号)」により消費者安全法が改正され、消費生活相談員資格試験制度が法定化されたが、この試験については、一定の要件を満たす機関であれば試験を…

直接強制と即時強制

人の身体に直接実力を行使する仕組みとして、直接強制と即時強制があるが、自治体の条例においては、行政代執行法第1条の解釈から、前者の制度は設けることができないと解されている(鈴木潔『強制する法務・争う法務』(P88)参照)。したがって、条例におけ…

行政上の義務履行を司法手続で求めることに関するメモ

須藤陽子『行政強制と行政調査』(P5〜)によると、行政執行法を廃止し、行政代執行法を制定する過程において、法制局が、各省と意見交換を行い、それを踏まえてまとめた、昭和23年1月22日付け「公法上の義務の履行強制制度の存廃(行政執行法第五條)」とい…

補助金の交付について条例化すること

Washitaさん経由 補助金不正防止へ独自条例 NPO問題で県検討県は14日、県議会9月定例会の決算特別委員会で、山田町の緊急雇用創出事業をめぐるNPO問題などを踏まえ、補助金適正化法に準じた独自の条例制定を検討する方針を示した。同法には不正受給や…

続・都道府県条例に市町村の責務を規定することについて

都道府県条例に市町村の責務を規定することについては、以前(2008年2月29日付け記事「都道府県条例に市町村の責務を規定することについて」)取り上げたことがあるが、少なくとも私の周囲では、それが適当でないという意見を言う人は少なく、むしろ規定す…

組織に関する規定の位置

条例で、実体的な規定と併せて審議会のような組織に関する規定を置く場合、通常は雑則の前辺り、つまり後ろの方に置くのが通常である。 法律の例を見ると、例えば、総合特別区域法では、内閣に総合特別区域推進本部を置くこととしている。同法の章名は次のと…

公契約条例と指定管理者制度

前回、野田市公契約条例において気になる規定があると記載した。それは、次に掲げる同条例第2条第1号の規定である。 (定義)第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。(1) 公契約 市が発注する工事又は製造…

公契約条例

半鐘さんが公契約条例について取り上げ、そのタイプを野田市型と川崎市型に分類して、その違いを述べられている。 それぞれの条例(野田市公契約条例、川崎市契約条例)において、契約上の賃金の最低額を定める規定は、次のとおりとなっている。 <野田市公…

附属機関の委員の任期

附属機関の委員の任期は、どの程度にすべきであろうか。松本英昭『新版逐条地方自治法(第4次改訂版)』(P1055)には、いわゆる八条機関である国地方係争処理委員会の委員に関する記述において、次のように記載されている。 審議会等の運営の安定を図る観点…

共同規則

kei-zuさんが、複数の執行機関による共同規則は可能かということを取り上げておられた。 共同規則については、私も否定的に考えているが、その理由は、自治体の規則制定の根拠は法律にあり、法律に共同規則を制定することができる根拠規定がない、すなわち法…

条例による政省令の上書き

平成24年法律第73号により構造改革特別区域法が改正され、政令又は主務省令により定められた規制の特例措置を条例で定めることができるようにするため、次の規定が設けられた。 (地方公共団体の事務に関する規制についての条例による特例措置)第35条 地方…

法文の平易化の限界

法文を平易化すべきということは、何も疑いもなく言われていることである。しかし、長尾龍一氏は、「法的言語と日常言語」『法学ことはじめ』において「法律用語を一定限度以上易しくすることは原理上不可能で、法令平易化論者を充分満足させることはできな…

手数料に関する規定

手数料に関する事項は、条例で定めることとされている(地方自治法第228条第1項)。 しかし、国の場合は、法律で具体的な額を定める例は少なく、政令等に委任するのが一般的である。 国における手数料の立法技術として、田島信威『立法技術入門講座2法令の…

附属機関の設置に関する通則条例を制定している自治体

以前(2013年8月17日付け記事「いわゆる私的諮問機関に関する判例について(5)」)、附属機関設置条例について通則条例を定め、規定する内容を簡略化している自治体があることを記載したが、都道府県と政令市における制定状況を確認したので*1、メモをし…

子どもの権利擁護のための条例

子どもの権利擁護のための条例を制定する自治体がある。これは、我が国が平成6年に「児童の権利に関する条約」を批准したことを契機としてのもののようである。 しかし、子どもの権利を主張することに対し、「子どもには権利より義務、責任が大事」といった…

いわゆる私的諮問機関に関する判例について(5)

今回は、今まで取り上げてきた判例について総括し、まとめとしたい。 これまで取り上げてきた判例は、いずれも附属機関に当たらないとする自治体側の主張を退けているが、裁判所は、形式的に法の附属機関の規定を引用し、あとは自治体側の主張に理由がないと…

いわゆる私的諮問機関に関する判例について(4)

4 平成23年3月23日横浜地裁判決(平成21年(行ウ)第71号)及び平成23年 9月15日東京高裁判決(平成23年(行コ)第143号) (1) 対象 一般廃棄物処理施設をPFI法の趣旨に基づいたDBO(公設民営)方式で建設することを計画し、その事業者の選定に当た…

いわゆる私的諮問機関に関する判例について(3)

3 平成21年6月4日広島高裁岡山支部判決(平成20年(行コ)第8号)(第1審:平成20年10月30日岡山地裁判決(平成19年(行ウ)第6号)) (1) 対象 町内会における住民間の対立等の混乱が生じたため、専門的な知見を有する第三者から幅広い意見を聴取し、…

いわゆる私的諮問機関に関する判例について(2)

2 平成14年9月24日福岡地裁判決(平成13年(行ウ)第25号) (1) 対象 福岡県若宮町*1が設置した「まちづくり委員会」。当初は(平成9年9月)、規則(若宮町21まちづくり委員会設置規則)により設置していたが、平成13年10月、条例(若宮町21まちづくり委…

いわゆる私的諮問機関に関する判例について(1)

要綱等で設置するいわゆる私的諮問機関について以前取り上げたことがあるが(下記私的諮問機関に関する記事参照)、下級審ではあるが、条例で設置しなければならない附属機関であるとして違法とする判例が出されていることから、裁判所はどのような判断をし…

選挙における戸別訪問禁止の立法事実

7月21日に投票が行われる参議院選挙は、インターネット選挙運動の解禁という選挙運動の方法が変化した選挙である。 選挙運動と言うと詳細な規制がなされており、ここまで規制する必要があるのかと批判されているものもある。その一つが戸別訪問の禁止である…