例規の立案で考えられない間違いをしている例(5)

行政不服審査法及び行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備に関する省令(平成28年厚生労働省令第25号)(社会保険審査官及び社会保険審査会法施行規則の一部改正)第3条 社会保険審査官及び社会保険…

例規の立案で考えられない間違いをしている例(4)

関税法施行規則等の一部を改正する省令(平成27年財務省令第91号) 関税法施行規則(昭和四十一年大蔵省令第五十五号)の一部を次のように改正する。 (略)第10条の表中、「日付け」を「日付」に改め、第3条第1項、第5項第1号ロ及び第3号、第4条第3…

資格制度における名称独占等について〜保健師助産師看護師法における議論

次の規定は、保健師助産師看護師法の規定である。 第29条 保健師でない者は、保健師又はこれに類似する名称を用いて、第2条に規定する業をしてはならない。第30条 助産師でない者は、第3条に規定する業をしてはならない。ただし、医師法(昭和23年法律第20…

例規の立案で間違いやすい例(63)

統計法施行規則の一部を改正する省令(平成28年総務省令第9号)統計法施行規則(平成20年総務省令第145号)の一部を次のように改正する。 (略) 第16条の見出しを「(匿名データの提供に係る手続等)」に改め、同条を次のように改める。第16条 (略) これ…

新旧対照表方式は法律改正にも用いられるのか

省令等の改正において新旧対照表方式を用いることは、もはや当たり前のようになっているが、では、これが法律や政令まで広がるのだろうか。このことに関連して、衆議院事務総長である向大野新治氏の著書『議会学』(P183)に、次の興味深い記述がある。 かつて…

例規の立案で考えられない間違いをしている例(3)

小売物価統計調査規則の一部を改正する省令(平成27年総務省令第109号)第1条 小売物価統計調査規則(昭和57年総理府令第6号)の一部を次のように改正する。第10条第2項を同条第3項とし、同項中「前項」を「第1項」に改め、同条第1項の次に次の1項を…

内閣法制局と議院法制局(その2)

以前(2014年11月28日付け記事『内閣法制局と議院法制局』)において、「議院法制局は、内閣法制局よりも技術的に劣っているというのが、一般的な認識であろう」と記載したことがある。 こうした認識が持たれる理由は、2002年9月に発行された西川伸一『立法…

例規の立案で間違いやすい例(62)

国家公務員共済組合法施行規則等の一部を改正する省令(平成27年財務省令第73号)(国家公務員共済組合法施行規則の一部改正)第1条 国家公務員共済組合法施行規則(昭和33年大蔵省令第54号)の一部を次のように改正する。 (略)第85条の2の6中……に改め…

地方特別法の附則に設けられた規定

いわゆる地方特別法である「熱海国際観光温泉文化都市建設法」の附則には、次の規定が設けられた。 2 この法律は、日本国憲法第95条の規定により、熱海市の住民の投票に付するものとする。 この規定は、地方特別法が効力を生ずるのは住民投票を行った後であ…

共有物の持分を有する者は所有者なのか

地方税法に次の規定がある。 (震災等により滅失等した家屋に代わる家屋等に対する都市計画税の減額)第702条の4の2 市町村は、震災、風水害、火災その他の災害(以下この条において「震災等」という。)により滅失し、又は損壊した家屋の所有者(当該家屋…

削った条を追加すること

条を全部改正するのでなく、一旦削った後に追加することは、全く用例がないわけではないが、原則は行うべきではないだろう。 そうすると、次の一部改正命令は、どうなるだろうか。 地方公務員等共済組合法施行規程等の一部を改正する命令(平成27年内閣府令…

例規の立案で間違いやすい例(61)

私立学校教職員共済法施行規則等の一部を改正する省令(平成27年文部科学省令第33号)(私立学校教職員共済法施行規則の一部改正)第1条 私立学校教職員共済法施行規則(昭和28年文部省令第28号)の一部を次のように改正する。 (略)第24条第1項第7号及…

町村議会のあり方に関する研究会報告書

3月26日、総務省に設置された「町村議会のあり方に関する研究会」の報告書が公表された。報告書は、持続可能な議会の実現を目的として、小規模市町村を対象に、現行議会のあり方を維持できることを前提に、「集中専門型」と「多数参画型」という新しい2つ…

例規の立案で考えられない間違いをしている例(2)

食品表示法の施行に伴う厚生労働省関係省令の整理等に関する省令(平成27年厚生労働省令第70号)(職業能力開発促進法施行規則の一部改正)第2条 職業能力開発促進法施行規則(昭和44年労働省令第24号)別表第12ハム・ソーセージ・ベーコン製造の項、水産練…

追記

2018年2月23日付け記事『書き振りが気になる規定の例(14)』に追記しました。

書き振りが気になる規定の例(16)

次の規定は、「電気事業法等の一部を改正する等の法律(平成27年法律第47号)」第7条の規定により全部改正された熱供給事業法の規定である。 (登録の拒否)第6条 (略)2 経済産業大臣は、前項の規定による登録の拒否をしたときは、理由を記載した文書を…

『原課職員のための自治体財務』

kei-zuさんから表題の御著書をいただきました。ありがとうございました。 私は、財務所管課(財政課・会計課)の経験はなく、財務関係書籍はそれほど目にしているわけではないので類似図書との比較はできないのですが、全体を3章に分け、そのうちの1章(第…

書き振りが気になる規定の例(15)

次に掲げる規定は、「一般職の職員の給与に関する法律」第11条の規定である。 (扶養手当)第11条 扶養手当は、扶養親族のある職員に対して支給する。ただし、次項第1号及び第3号から第6号までのいずれかに該当する扶養親族(以下「扶養親族たる配偶者、…

書き振りが気になる規定の例(14)

水銀による環境の汚染の防止に関する法律(平成27年法律第42号)(事業者の責務)第18条 水銀使用製品の製造又は輸入の事業を行う者は、当該水銀使用製品への水銀等の使用に関する表示その他の消費者が水銀使用製品を適正に分別して排出することを確保するこ…

希望の党の憲法改正案

希望の党の憲法改正案とされている地方自治の章の規定は、次のとおりである。 第8章 地方自治第92条 地方自治は、住民の福祉の増進を図ることを基本とし、住民の意思に基づき、地方自治体によつて自主的かつ自立的に行われなければならない。2 地方自治体…

憲法第9条に自衛隊を明記する案

憲法第9条第1項及び第2項をそのままにして、同条に自衛隊を書き込む案として、井上武史九州大学准教授と阪田雅裕元内閣法制局長官の私案が以下のとおり示されているのを目にした。 <井上准教授の案>(日本経済新聞 2018年2月7日)1 日本国民は、正義…

例規の立案で間違いやすい例(60)

雇用保険法施行規則及び建設労働者の雇用の改善等に関する法律施行規則の一部を改正する省令(平成27年厚生労働省令第88号)(雇用保険法施行規則の一部改正)第1条 雇用保険法施行規則(昭和50年労働省令第3号)の一部を次のように改正する。 (略)第118…

2条建てで全部改正

情報処理技術者試験規則等の全部を改正する省令(平成28年経済産業省令第102号)(情報処理技術者試験規則の全部改正)第1条 情報処理技術者試験規則(昭和45年通商産業省令第59号)の全部を次のように改正する。情報処理の促進に関する法律施行規則目次第…

区域外にある者に対する条例の罰則適用の可否

都議会 条例改正案が成立 自画撮り画像子供に要求で罰金東京都議会定例会で15日、18歳未満の子供に自分の画像の送信を要求する行為に罰金を科す「都青少年健全育成条例改正案」が、全会一致で可決され成立した。脅されたり、だまされたりした子供が、自分の…

改正議員定数・選挙区条例の施行日等

例規の施行日について、特定の事実の発生にかからせる場合がある。そして、その例として「次の総選挙から施行する」という例が挙げられることがあり(田島信威「最新法令の読解法(4訂版)」(P303)参照)、自治体の条例では、まだそうした事例が散見される…

題名が長い条例

一部で拡散している次の記事 大分県宇佐市 「日本一長いかもしれない条例」でPR継続これからは「日本一長いかもしれない条例」となります−−。大分県宇佐市は「日本一長い条例」としてPRしてきた地産地消を進める条例について、「日本一ではない」と指摘…

例規の立案で間違いやすい例(59)

独立行政法人環境再生保全機構に関する省令の一部を改正する省令(平成27年環境省令第13号) (略)第22条を第27条とし、同条の次に次の2条を加える。第28条・第29条 (略)第21条を第26条とし、17条から第20条までを5条ずつ繰り下げ、第16条の2を第21条…

例規の立案で間違いやすい例(58)

独立行政法人国立環境研究所の業務運営並びに財務及び会計に関する省令の一部を改正する省令(平成27年環境省令第12号) (略)第15条を第21条とし、同条の次に次の2条を加える。第22条・第23条 (略)第14条を第20条とし、第13条を第19条とし、第12条の2…

法律の規定の活用を条例で規定することについて

岡田博史『自治体コンプライアンスの基礎』(P109〜)*1によると、滋賀県野洲市では、行政手続法第36条の3の規定において、何人も、法令に違反する事実の是正のためにされる処分又は行政指導(根拠規定が法律に置かれているものに限る。)がされていないと…

NHKの受信料制度に関する最高裁判決

6日、最高裁は、NHKの受信料制度について合憲との判決を行ったが、その判事事項は、次のとおりである。 放送法64条1項は,受信設備設置者に対し受信契約の締結を強制する旨を定めた規定であり、日本放送協会からの受信契約の申込みに対して受信設備設置…