新旧対照表方式〜改め等方式との併用(上)
新旧対照表方式における改め等方式との併用については、以前も少し取り上げたことがあるのだが(2008年3月14日付け記事「続・新旧対照表方式(6)〜別表の改正と改め文の位置」)、岩手県における取扱いとして「岩手県法規案立案マニュアル」(以下このシリーズで「岩手県マニュアル」という。)に詳細な記載があるので、それをもとに、改めてこの事項を取り上げてみたい。
改め等方式を併用する場合には、ある程度基準が必要になってくるであろうが、岩手県では、次のような基準を設けている(「岩手県マニュアル」(P109〜))。
・同じ字句等の整理を一括して大量に行う改正の場合
・大部の別表又は様式その他表に収めることが困難な改正の場合
・その他新旧対照表方式により難い改正の場合
この基準では、不明確で基準にはならないという批判も一応は可能であろう。しかし、改め等方式でも、条ごとに順を追って改正するのではなく、まとめて特定の語句を改正するような場合もあり、どのような場合にそのような方式で行うかについて明確な基準というものはないようである。おそらく、感覚的に判断しているのであろうが、このようなことからすると、この程度の基準でも十分ではないかと思う。
では、併用する場合に、具体的にどのような体裁とするかについてであるが、上記記事において、都道府県レベルでは、新旧対照表による改正部分と改め等方式による改正部分とを別条にする例(鳥取県、新潟県)とあえて別条にしない例(岩手県)があり、個人的な見解としては、あえて別条にする必要はないと思うが、必ずしも岩手県のやり方に賛同するものでもない旨を記載した。
その岩手県の方式であるが、「岩手県マニュアル」(P112〜)によると次のようになる。
何々条例の一部を改正する条例
何々条例(何々年岩手県条例第何号)の一部を次のように改正する。
何々条例の一部を次のように改正する。
本則中「何々」を「何々」に改める。別表第1を次のように改める。
改正前 改正後 (何々)
第何条 何々・・・・・何々・・・・・・・・・・。
(何々)
第何条 何々・・・・・何々・・・・・・・・・・。(何々)
第何条 何々・・・・・何々・・・・・・・・・・。
(何々)
第何条 何々・・・・・何々・・・・・・・・・・。備考 改正部分は、下線の部分である。
何々・・・・・・・・・・ 何々・・・・・・・・・・ 附 則
改正前 改正後 別表第2(第何条関係)
(略)別表第2(第何条関係)
(略)備考 改正部分は、下線の部分である。
この条例は、何々年何月何日から施行する。
この岩手県方式について気になる点は、次回に触れることとしたい。