非常勤の行政委員の報酬が月額制であることについて・追記(中)

前回(『非常勤の行政委員の報酬が月額制であることについて・追記(上)』)、2009年1月30日付け記事について反省する面があると記載したが、それは、国における行政委員会の委員等の給与についてあまり確認していなかったので、結果として大津地裁判決に対する批判としてはあまり適切なものになっていなかったことである。そこで、まずその国の状況から確認しておくことにする。
国における行政委員会の委員等の給与は、特別職の職員の給与に関する法律に規定されているが、非常勤の委員等については、同法第9条で次のように規定されており、日額報酬とされている。この点で、例外は見当たらない。

(非常勤の内閣総理大臣補佐官等の給与)
第9条 第1条第45号から第72号までに掲げる特別職の職員(以下「非常勤の内閣総理大臣補佐官等」という。)には、一般職給与法第22条第1項の規定の適用を受ける職員の例により、手当を支給する。ただし、同項中「人事院の承認を得て」とあるのは、「総務大臣と協議して」とする。
(参考)
一般職の職員の給与に関する法律
(非常勤職員の給与)
第22条 委員、顧問若しくは参与の職にある者又は人事院の指定するこれらに準ずる職にある者で、常勤を要しない職員(再任用短時間勤務職員を除く。次項において同じ。)については、勤務1日につき、3万5,300円(その額により難い特別の事情があるものとして人事院規則で定める場合にあつては、10万円)を超えない範囲内において、各庁の長が人事院の承認を得て手当を支給することができる。
2・3 (略)

これに対し、常勤の委員等については、同法に基づき月額報酬とされているが、同法は次のような規定をおき、一定の所得がある場合には日額報酬としている。

第4条 第1条第12号から第41号までに掲げる特別職の職員のうち、他の職務に従事し、又は営利事業を営み、その他金銭上の利益を目的とする業務を行い、当該職務、事業又は業務から生ずる所得(国会議員、内閣総理大臣等又は一般職の常勤を要する職員として受ける給与に係るものを除く。)が政令で定める基準に該当することとなる者には、第2条に規定する給与は、支給しない。
2 前項の規定に該当する者には、第九条の規定の例により、手当を支給する。この場合において、同条中「「人事院の承認を得て」とあるのは、」とあるのは、「「3万5,300円」とあるのは「6万8,000千円」と、「人事院の承認を得て」とあるのは」とする。

これをみると、国の場合は、月額報酬は生活給としての意味がある場合に限られるという考え方が強いようであり、したがって、国の考え方に従わなければいけないとするならば、大津地裁判決のような考え方になるのだろう。
では、私が大津地裁判決の何が納得できないかということについてだが、次回に記載させていただくことにする。