6月の期末・勤勉手当に係る改正条例の規定

6月の期末・勤勉手当について、改正給与法の附則第2条の規定に相当する規定を設けるべきかどうか議論されているようです。大勢としては不要だとする意見が多いようですが、少し異を唱えてみます。
まず、その改正法における規定を次に掲げます。

(期末手当及び勤勉手当に係る人事院の勧告等)
第2条 平成21年6月の期末手当及び勤勉手当を次の表の上欄に掲げる規定により算定することとした場合における当該規定に規定する割合とそれぞれ同表の下欄に掲げる規定によりこれらの手当を支給する際に現に用いられる当該規定に規定する割合との差に相当する割合に係るこれらの手当の取扱いについては、この法律の施行後速やかに、人事院において、期末手当及び勤勉手当に相当する民間の賃金の支払状況を調査し、その結果を踏まえて、必要な措置を国会及び内閣に同時に勧告するものとする。
(表略)

この規定は、5月1日の人事院勧告における「平成21年6月に支給する期末手当及び勤勉手当に関する特例措置に係る改正」の内容が次のようなものになっているため、その3を踏まえてこのような書き振りになっているのでしょう。

1 平成21年6月に支給する期末手当及び勤勉手当の支給割合は、一般職の職員の給与に関する法律第19条の4第2項及び第3項並びに第19条の7第2項の規定にかかわらず、次に掲げる職員の区分に応じ、それぞれ次に定める月数分とすること。 
(1)〜(3) (略)
2 (略)
3 本来平成21年6月に支給すべきものとして一般職の職員の給与に関する法律に定められている期末手当及び勤勉手当の支給割合と1及び2による期末手当及び勤勉手当の支給割合との差に相当する支給割合の期末手当及び勤勉手当の取扱いについて、必要な措置を講ずること。

したがって、規定振りとしては上記のようになってしまうのは仕方がないのでしょうが、改正法だけを見ていると、私は、期末・勤勉手当の一部凍結ということがあまり連想できず、どうもしっくりこないのです。それが、このような規定を条例で置きたくないと考える理由にもなっているように感じます。
ただし、その凍結という趣旨からこの規定が置かれている以上、自治体においても同様に考えるのであれば、このような規定を置くことが普通でしょうし、私なら置かないという選択はしないと思います。
では、仮にこのような規定を置く場合に、人事委員会を置かない市町村においては、どのような規定ぶりとするのかですが、一つの私案を次に掲げます。

平成21年6月の期末手当及び勤勉手当に係る措置
第2条 平成21年6月の期末手当及び勤勉手当を次の表の上欄に掲げる規定により算定することとした場合における当該規定に規定する割合とそれぞれ同表の下欄に掲げる規定によりこれらの手当を支給する際に現に用いられる当該規定に規定する割合との差に相当する割合に係るこれらの手当の取扱いについて、市(町村)長は、国において一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律(平成21年法律第○号)附則第2条の規定による勧告*1を考慮して所要の措置が講じられた場合には、これを考慮して必要な措置を講ずるものとする。
(表略)*2

もちろん、必ずしも必要な規定ではないことも事実ですので、条例には置かないという選択肢も当然あり得るでしょう。ただ、上記のような規定があった方が、説明も簡単ではないかと思うのです。そうすると、置くかどうかの判断は、法制執務の問題というよりも、原課の判断を尊重すべき事項のように感じます。

*1:国ではなく、都道府県の勧告、あるいはその両者を規定することも考えられると思います。

*2:ゴシックの部分は、法律の規定の書きぶりと異なる部分です。