6月の期末・勤勉手当に係る改正条例の規定・追記

もはや今更という感じなのですが、以前取り上げた(2009年5月22日付け記事「6月の期末・勤勉手当に係る改正条例の規定」)、6月の期末・勤勉手当に係る条例に、改正給与法の附則第2条の規定に相当する規定を設けるべきかについて、人事委員会を置く自治体の条例はどのような規定とすべきなのか、tihoujitiさん(http://d.hatena.ne.jp/tihoujiti/20090608)(http://d.hatena.ne.jp/tihoujiti/20090610)が取り上げられていた実例の幾つかを見ながら触れておくことにします。
まず、次の神奈川県の例を取り上げます。

職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例(平成21年神奈川県条例第49号)
附 則
(期末手当、勤勉手当及び期末特別手当に係る人事委員会の勧告等)
2 平成21年6月の期末手当、勤勉手当及び期末特別手当を次の表の左欄に掲げる規定により算定することとした場合における当該規定に規定する割合とそれぞれ同表の右欄に掲げる規定によりこれらの手当を支給する際に現に用いられる当該規定に規定する割合との差に相当する割合に係るこれらの手当の取扱いについては、この条例の施行後速やかに、神奈川県人事委員会において、期末手当、勤勉手当及び期末特別手当に相当する民間の賃金の支給状況を調査し、その結果を踏まえて、必要な措置を県議会及び知事に同時に勧告するものとする。
   (表略)

これは、改正給与法に準じた書きぶりとなっています。一般的に給与条例は給与法にならった書きぶりとしていることを考えると、このような例が多いのではないかと感じます。
しかし、自治体の職員の給与は、地方公務員法第24条第3項で「職員の給与は、生計費並びに国及び他の地方公共団体の職員並びに民間事業の従業者の給与その他の事情を考慮して定められなければならない」とされているように、民間の給与のみを考慮して決められるわけではなく、実際には国の職員の給与の状況に大きな影響を受けており、人事委員会においても、人事院勧告をを強く意識して勧告を行っていることからすると、私は、このような書きぶりはちょっと違うだろうと思ってしまうのです。
その点、東京都や川崎市では、次のような書きぶりとなっています。

職員の給与に関する条例の一部を改正する条例(平成21年東京都条例第60号)による改正後の職員の給与に関する条例(昭和26年東京都条例第75号)
附 則
10 平成21年6月の期末手当を前2項の規定により読み替えて適用される前の第21条第2項(同条第3項の規定により読み替えて適用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定により算定することとした場合における当該規定に規定する割合と前2項により読み替えて適用される第21条第2項の規定により期末手当を支給する際に現に用いられる当該規定に規定する割合との差に相当する割合に係る期末手当の取扱いについては、当該期末手当の取扱いに係る人事委員会の勧告を踏まえ、必要な措置を講ずるものとする。

川崎市職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例(平成21年5月29日専決)*1 
(期末手当及び勤勉手当に係る必要な措置)
2 この条例の施行後、平成21年6月の期末手当及び勤勉手当を次の表の左欄に掲げる規定により算定することとした場合における当該規定に規定する割合とそれぞれ同表の右欄に掲げる規定によりこれらの手当を支給する際に現に用いられる当該規定に規定する割合との差に相当する割合に係るこれらの手当の取扱いについて人事委員会から勧告等が行われたときは、市長は、当該勧告等の内容を踏まえ、必要な措置を講ずるものとする。
   (表略)

上記の2団体を比べると、川崎市の方がきちんと書いていて、その点では好感が持てるのですが、この規定の意味が期末・勤勉手当の一部凍結ということを示すに過ぎないということを考えるのであれば、きちんと書く意味はそれ程ないことになるでしょう。
個人的には、改正給与法では、人事院が勧告を行うのだというレベルにとどめているので、条例でもそのレベルにとどめておきたいところでもあり、まあ何か書いておけばいいやということであれば、次のような程度の書き方でもよいのではないかと思います。

人事委員会は、平成21年6月の期末手当及び勤勉手当を次の表の左欄に掲げる規定により算定することとした場合における当該規定に規定する割合とそれぞれ同表の右欄に掲げる規定によりこれらの手当を支給する際に現に用いられる当該規定に規定する割合との差に相当する割合に係るこれらの手当の取扱いについて、必要な措置を議会及び知事(市長)に同時に勧告するものとする。
   (表略)

*1:条例番号は確認できなかった。