現在では用いられない改正方法(5)

前回記載した、法制執務研究会『新訂ワークブック』(P459)の引用部分の後段、すなわち、連続する4以上の条等の繰り下げの場合に、最後尾のものについては原則どおりの繰下げを行い、その前の3以上の条、項又は号については一括して繰下げを行うことの例外として、連続する4未満の条等の移動を一括して行った例を次に掲げる。

<例1>
農林省設置法の一部を改正する法律(昭和39年法律第128号)
   (略) 
第18条の6中第4項を第5項とし、第2項及び第3項を1項ずつ繰り下げ、第1項の次に次の1項を加える。
2 (略)
<例2>
厚生省設置法の一部を改正する法律(昭和34年法律第139号)
   (略)
第2章第3節中第3款を第2款とし、第37条を第34条とし、第38条及び第39条をそれぞれ第35条及び第36条とする。

そして、一括して繰下げ又は繰上げを行う部分の例外的な事例として次のような例がある。

<例3>
環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法律の一部を改正する法律(昭和36年法律第230号)
   (略)
第28条第1項各号列記以外の部分中……を加え、同項中第11号を第15号とし、第7号から第10号までを順次4号ずつ繰り下げ、第6号の次に次の4号を加える。
(7)〜(10) (略)
<例4>
離島振興法の一部を改正する法律(昭和36年法律第97号)
   (略)
第11条第1項中……に改め、同項中第3号を第4号とし、以下1号ずつ繰り下げ、第2号の次に次の1号を加える。 
(3) (略)
<例5>
あへん法(昭和29年法律第71号)
附 則
(麻薬取締法の一部改正)
7 麻薬取締法の一部を次のように改正する。
第2条第15号中「麻薬原料植物」を「麻薬原料植物(けしを除く。以下同じ。)」に、「又は麻薬を製造し、若しくは使用する」を「麻薬を製造し、又は麻薬、あへん若しくはけしがらを使用する」に改め、同条中第2号を第5号とし、以下第18号までを順次3号づつ繰り下げ、第1号の次に次の3号を加える。
(2)〜(4) (略)

これらの例を詳細に分析しても、今となってはあまり意味がないのであるが、例えば、号は、条や項とは異なった扱いをしているような感じも受け、なかなかおもしろいものである。