法律における届出等の義務違反に対する制裁等について(中)

今回は、届出等の違反があった場合における制裁とまでは言い難いが、それを防止するための措置の例を取り上げる。
3 認定取消し・支給停止
規定例としては、認定取消しの例として次の「就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律」の例が、支給取消しの例として次の「特定障害者に対する特別障害給付金の支給に関する法律」の例がある。

就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律
(変更の届出)
第7条 認定こども園(第3条第1項又は第3項の認定を受けた施設及び同条第5項の規定による公示がされた施設をいう。以下同じ。)の設置者(都道府県を除く。次条及び第10条第1項において同じ。)は、第4条第1項各号に掲げる事項及び教育保育概要として前条の規定により周知された事項の変更(文部科学省令・厚生労働省令で定める軽微な変更を除く。)をしようとするときは、あらかじめ、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
2 (略)
(認定の取消し)
第10条 都道府県知事は、次の各号のいずれかに該当するときは、認定こども園の認定を取り消すことができる。
(1) (略)
(2) 認定こども園の設置者が第7条第1項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。
(3)〜(6) (略)
2・3 (略)
特定障害者に対する特別障害給付金の支給に関する法律
第15条 特別障害給付金の支給を受けている者が、正当な理由がなくて、第27条第1項の規定による届出をせず、又は書類その他の物件を提出しないときは、特別障害給付金の支払を一時差し止めることができる。
(届出)
第27条 特別障害給付金の支給を受けている者は、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣に対し、厚生労働省令で定める事項を届け出、かつ、厚生労働省令で定める書類その他の物件を提出しなければならない。
2・3 (略)

この例は、認定や支給決定が前提となっているため、届出等そのものの違反を防止するための措置として取り上げるのは、あまり適当でないのかもしれない。
4 立入検査
規定例としては、次の薬事法の例がある。

薬事法
(立入検査等)
第69条  厚生労働大臣又は都道府県知事は、医薬品、医薬部外品、化粧品若しくは医療機器の製造販売業者、製造業者、第14条の11第1項の登録を受けた者、医療機器の修理業者又は第18条第3項、第68条の9第6項若しくは第77条の5第4項の委託を受けた者(以下この項において「製造販売業者等」という。)が、……第77条の4の3……の規定……を遵守しているかどうかを確かめるために必要があると認めるときは、当該製造販売業者等に対して、厚生労働省令で定めるところにより必要な報告をさせ、又は当該職員に、工場、事務所その他当該製造販売業者等が医薬品、医薬部外品、化粧品若しくは医療機器を業務上取り扱う場所に立ち入り、その構造設備若しくは帳簿書類その他の物件を検査させ、若しくは従業員その他の関係者に質問させることができる。
2〜6 (略)
(回収の報告)
第77条の4の3  医薬品、医薬部外品、化粧品若しくは医療機器の製造販売業者、外国特例承認取得者又は第80条第1項に規定する輸出用の医薬品、医薬部外品、化粧品若しくは医療機器の製造業者は、その製造販売をし、製造をし、又は承認を受けた医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療機器の回収に着手したとき(第70条第1項の規定による命令を受けて回収に着手したときを除く。)は、その旨を厚生労働省令で定めるところにより厚生労働大臣に報告しなければならない。

この例は、全ての届出等の場合に用いることができる手法とは言えないが、それが継続的に行われることが想定されるのであれば、おもしろい手法である。