一括法で委任された事項に関する雑感(6)〜地方独立行政法人が返還すべき重要な財産(上)

いわゆる第3次一括法により、地方独立行政法人法(以下このシリーズでは「法」という。)に次の規定が追加され、地方独立行政法人は、設立団体等から出資等を受けた財産が不要となった場合に、設立団体等に返還しなければならないこととされた。

(財産的基礎等)
第6条 (略)
2・3 (略)
4 地方独立行政法人は、業務の見直し、社会経済情勢の変化その他の事由により、その保有する重要な財産であって条例で定めるものが将来にわたり業務を確実に実施する上で必要がなくなったと認められる場合において、当該財産が地方公共団体からの出資又は設立団体からの支出(金銭の出資に該当するものを除く。)に係るものであるときは、第42条の2の規定により、当該財産(以下「出資等に係る不要財産」という。)を処分しなければならない。
5・6 (略)
(出資等に係る不要財産の納付等)
第42条の2 地方独立行政法人は、出資等に係る不要財産については、遅滞なく、設立団体の長の認可を受けて、これを当該出資等に係る不要財産に係る地方公共団体(以下この条において「出資等団体」という。)に納付するものとする。
2 地方独立行政法人は、前項の規定による出資等に係る不要財産(金銭を除く。以下この項及び次項において同じ。)の出資等団体への納付に代えて、設立団体の長の認可を受けて、出資等に係る不要財産を譲渡し、これにより生じた収入の額(当該財産の帳簿価額を超える額(次項において「簿価超過額」という。)がある場合には、その額を除く。)の範囲内で総務大臣が定める基準により算定した金額を当該出資等団体に納付することができる。
3 地方独立行政法人は、前項の場合において、出資等に係る不要財産の譲渡により生じた簿価超過額があるときは、遅滞なく、これを出資等団体に納付するものとする。ただし、その全部又は一部の金額について出資等団体に納付しないことについて設立団体の長の認可を受けた場合における当該認可を受けた金額については、この限りでない。
4 地方独立行政法人が第1項又は第2項の規定による出資等団体への納付をした場合において、当該納付に係る出資等に係る不要財産が出資等団体からの出資に係るものであるときは、当該地方独立行政法人の資本金のうち当該納付に係る出資等に係る不要財産に係る部分として設立団体の長が定める金額については、当該地方独立行政法人に対する当該出資等団体からの出資はなかったものとし、当該地方独立行政法人は、その額により資本金を減少するものとする。
5 設立団体の長は、第1項又は第2項の規定による認可をしようとするときは、あらかじめ、評価委員会の意見を聴くとともに、議会の議決を経なければならない。
6 設立団体の長は、第3項ただし書の規定による認可をしようとするときは、あらかじめ、評価委員会の意見を聴かなければならない。
7 (略)

これは、社会経済情勢の変化や法人の業務運営の効率化等により、法人が保有する財産の一部が不要となる場合が生じており、この不要となった財産を設立団体等において有効活用すべきという趣旨から設けられた規定である。
 この設立団体等に返還しなければならない財産を定めることが条例委任されているわけであるが(法第6条第4項)、返還の手続は、設立団体の認可が必要であり(法第42条の2第1項)、設立団体は、その認可に当たり、評価委員会の意見を聴くとともに、議会の議決を経なければならないこととされている。この議会の議決が必要とされていることから、どのように定めるかは結構難しくなっている。
 同様の規定は、独立行政法人通則法にも規定されているため、次回は、国がどのように定めているかを確認した上で、この点を考えていくことにしたい。
(参考)「一括法で委任された事項に関する雑感」記事一覧