書き振りが気になる規定の例(1)

今まで「例規の立案で間違いやすい例」で取り上げてきた法律・政令で書き振りが気になる規定について、今回から「書き振りが気になる規定の例」として取り上げることにします。
次の規定は、建築物の耐震改修の促進に関する法律施行令第4条の規定である。

(通行障害建築物の要件)
第4条 法第5条第3項第2号の政令で定める建築物は、そのいずれかの部分の高さが、当該部分から前面道路の境界線までの水平距離に、次の各号に掲げる当該前面道路の幅員に応じ、それぞれ当該各号に定める距離(これによることが不適当である場合として国土交通省令で定める場合においては、当該幅員が12メートル以下のときは6メートルを超える範囲において、当該幅員が12メートルを超えるときは6メートル以上の範囲において、国土交通省令で定める距離)を加えたものを超える建築物とする。
(1) 12メートル以下の場合 6メートル
(2) 12メートルを超える場合 前面道路の幅員の2分の1に相当する距離

この規定がおかしいのは、柱書きで各号に掲げるのは幅員としていながら、各号では場合を書いていることである。
一つの解決方法としては、太字の部分を「次の各号に掲げる場合の区分に応じ」とし、各号をいずれも「当該前面道路の幅員が12メートル……」とすることである。
各号をそのままにするのであれば、太字の部分を「当該前面道路の幅員が次の各号に掲げる場合のいずれに該当するかに応じ」とすることが考えられる。同様の書き方をしている規定としては、次の「東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律施行令」第35条第7項がある。

(被災自動車等に係る自動車重量税の還付の申請等)
第35条 (略)
2〜6 (略)
7 法第45条第3項に規定する政令で定める場所は、被災自動車又は被災届出軽自動車の所有者が次の各号に掲げる場合のいずれに該当するかに応じ当該各号に定める場所とする。
(1) 自動車重量税法(昭和46年法律第89号)の施行地(以下この項において「国内」という。)に住所を有する個人である場合 その住所地
(2) 国内に住所を有せず居所を有する個人である場合 その居所地
(3) 国内に本店又は主たる事務所を有する法人である場合 その本店又は主たる事務所の所在地
(4) 前3号に掲げる場合を除き、国内に事務所、営業所その他これらに準ずるものを有する者である場合 その事務所、営業所その他これらに準ずるものの所在地(これらが2以上ある場合には、主たるものの所在地)
(5) 前各号に掲げる場合以外の場合 当該被災自動車に係る永久抹消登録、登録自動車の届出、自動車検査証の返納又は被災届出軽自動車に係る財務省令で定める事務をつかさどる官公署又は道路運送車両法第5章の2の規定により設立された軽自動車検査協会(次条第3項において「協会」という。)の所在地