末号における「その他」

以前(2013年3月16日付け記事「包括条項の表現」)、包括条項の表現として、「その他……」と規定することを取り上げたが、その例として、次の社会福祉施設職員等退職手当共済法の規定がある。

社会福祉施設職員等退職手当共済法(昭和36年法律第155号)
(定義)
第2条 この法律において「社会福祉施設」とは、次に掲げる施設をいう。
(1)〜(5) (略)
(6) その他前各号に準ずる施設で政令で定めるもの
2 この法律において「特定社会福祉事業」とは、次に掲げる事業をいう。
(1)・(2) (略)
(3) その他政令で定める社会福祉事業
3〜13 (略)

この第2条第2項第3号は、典型的な包括条項と言えるが、同条第1項第6号は、「……前各号に準ずる施設……」となっており、前各号に規定している事項とは別物を規定するので、包括条項ではなく、「その他……」と規定する必要はないことになる。
しかし、次の投資信託及び投資法人に関する法律施行令第24条第7号のように、比較的新しい法令でも同様に規定している例がある。

投資信託及び投資法人に関する法律施行令(平成12年政令第480号)
(募集の取扱い等の範囲)
第24条 法第26条第1項(法第54条第1項において準用する場合を含む。)に規定する政令で定める行為は、次に掲げるものとする。
(1)〜(6) (略)
(7) その他前各号に掲げるものに類する行為

さらに、次の地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律第33条第1項第6号のように、「前各号に掲げるもののほか……」としている例もある。

地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律(平成20年法律第40号)
(行為の届出及び勧告等)
第33条 歴史的風致維持向上地区計画の区域(歴史的風致維持向上地区整備計画が定められている区域に限る。)内において、土地の区画形質の変更、建築物等の新築、改築又は増築その他政令で定める行為をしようとする者は、当該行為に着手する日の30日前までに、国土交通省令で定めるところにより、行為の種類、場所、設計又は施行方法、着手予定日その他国土交通省令で定める事項を市町村長に届け出なければならない。ただし、次に掲げる行為については、この限りでない。
(1)〜(5) (略)
(6) 前各号に掲げるもののほか、これらに類するものとして政令で定める行為
2・3 (略)

もちろん、次の金融商品の販売等に関する法律第2条第1項第11号や株式会社日本政策投資銀行法第19条第7号のように、「その他……」とか「前各号に掲げるもののほか……」と書いていないものもあり、それが正解であろう。

金融商品の販売等に関する法律(平成12年法律第101号)
(定義)
第2条 この法律において「金融商品の販売」とは、次に掲げる行為をいう。
(1)〜(10) (略)
(11) 前各号に掲げるものに類するものとして政令で定める行為
2〜4 (略)
株式会社日本政策投資銀行法(平成19年法律第85号)
(認可対象子会社)
第19条 会社は、次に掲げる者(第3号、第4号及び第7号に掲げる者にあっては、個人であるものを除く。以下「認可対象子会社」という。)を子会社(会社法第2条第3号に規定する子会社をいう。)としようとするときは、あらかじめ、財務大臣の認可を受けなければならない。
(1)〜(6) (略)
(7) 前各号に掲げる者に類するものとして財務省令で定める者