答弁の補佐で処分?

「官僚、必ず処分する」民主・小西氏、声荒らげ
民主党小西洋之参院議員は9日の参院外交防衛委員会で、集団的自衛権憲法解釈を巡る質疑の際、中谷防衛相の答弁を巡り、秘書官が防衛相に耳打ちしたと指摘したうえで、「国会議員が真剣勝負で議論している。なんで官僚が後ろから補佐するんだ」と声を荒らげて批判した。
総務官僚出身の小西氏は、「私もかつて霞が関の官僚で、大臣の補佐をした」とも述べ、官僚が閣僚の国会答弁を手助けすることには一定の理解を示した。
ただ、続けて「(集団的自衛権の限定容認という)憲法違反のお先棒をかつぐような官僚の皆さんは絶対に許さない。政権を奪い返してから、必ず皆さんを処分する」と強調した。
小西氏の処分発言について、官僚の一人は「明らかに官僚へのどう喝だ。公式な委員会の場で問題発言ではないか」と反発した。
2015年6月10日 YOMIURI ONLINE

この発言に対しては、民主党幹部からも苦言を呈されており、その不適切さは、言わずもがなであるが、上記の官僚の行為が懲戒事由に当たる可能性が少しでもあるのか、一応見てみることにする。
防衛省の職員は、特別職であり(国家公務員法第2条第3項第16号)、その懲戒等については、原則として自衛隊法の規定による(自衛隊の意義につき、同法第2条第1項参照)。そして、その懲戒事由については、次の同法第46条第1項の規定が定めている。

(懲戒処分)
第82条 職員が次の各号のいずれかに該当する場合には、これに対し懲戒処分として、免職、降任、停職、減給又は戒告の処分をすることができる。
(1) 職務上の義務に違反し、又は職務を怠つた場合
(2) 隊員たるにふさわしくない行為のあつた場合
(3) その他この法律若しくは自衛隊員倫理法(平成11年法律第130号)又はこれらの法律に基づく命令に違反した場合
2 (略)

ちなみに、一般職の国家公務員の懲戒事由に関する規定も、ほぼ同様である(国家公務員法第82条第1項)。
強引に該当させようとするのであれば第2号であろうが、仮に現在議論されている安保法制が憲法違反であったとしても、該当すると考えるのは無理であろう。
なお、言うまでもないことだが、防衛省の職員に関する懲戒権者は、防衛大臣である(自衛隊法第31条第1項)。小西議員は、処分することが既定路線になるとでも考えていたのであろうか、それとも……。