書き振りが気になる規定の例(3)

次の規定は、建築物の耐震改修の促進に関する法律施行令附則第2条の規定であり、平成25年政令第294号により追加されたものである。

地震に対する安全性を緊急に確かめる必要がある大規模な既存耐震不適格建築物の要件)
第2条 法附則第3条第1項の政令で定める既存耐震不適格建築物は、次の各号に掲げる要件のいずれにも該当するものとする。
(1) (略)
(2) 次のイからヘまでに掲げる建築物の区分に応じ、それぞれ当該イからヘまでに定める階数及び床面積の合計(当該イからヘまでに掲げる建築物の用途に供する部分の床面積の合計をいう。以下この項において同じ。)以上のものであること。
イ 第8条第1項第1号から第7号まで又は第9号から第16号までに掲げる建築物(体育館(一般公共の用に供されるものに限る。ロにおいて同じ。)を除く。) 階数3及び床面積の合計5,000平方メートル
ロ 体育館 階数1及び床面積の合計5,000平方メートル
ハ 第8条第1項第8号又は第18号に掲げる建築物(保育所を除く。) 階数2及び床面積の合計5,000平方メートル
ニ 幼稚園又は保育所 階数2及び床面積の合計1,500平方メートル
ホ 小学校等 階数2及び床面積の合計3,000平方メートル
ヘ 第8条第1項第19号に掲げる建築物 階数一及び床面積の合計5,000平方メートル
(3) (略)
2 前項第2号イからホまでのうち2以上に掲げる建築物の用途を兼ねる場合における法附則第3条第1項の政令で定める既存耐震不適格建築物は、前項の規定にかかわらず、同項第1号及び第3号に掲げる要件のほか、同項第2号イからホまでに掲げる建築物の区分に応じ、それぞれ同号イからホまでに定める階数及び床面積の合計以上のものであることに相当するものとして国土交通省令で定める要件に該当するものとする。

気になるのは、太字の部分である。この規定は、同じ政令の本則にある次の規定を参考にしたのだろう。

(多数の者が利用する特定既存耐震不適格建築物の要件)
第6条 (略)
2 法第14条第1号の政令で定める規模は、次の各号に掲げる建築物の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める階数及び床面積の合計(当該各号に掲げる建築物の用途に供する部分の床面積の合計をいう。以下この項において同じ。)とする。
(1) 幼稚園、幼保連携型認定こども園又は保育所 階数2及び床面積の合計500平方メートル
(2) 小学校、中学校、中等教育学校の前期課程若しくは特別支援学校(以下「小学校等」という。)、老人ホーム又は前項第八号若しくは第九号に掲げる建築物(保育所を除く。) 階数2及び床面積の合計1,000平方メートル
(3) 学校(幼稚園、小学校等及び幼保連携型認定こども園を除く。)、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、事務所又は前項第1号から第7号まで若しくは第10号から第18号までに掲げる建築物 階数3及び床面積の合計1,000平方メートル
(4) 体育館 階数1及び床面積の合計1,000平方メートル
3 前項各号のうち2以上の号に掲げる建築物の用途を兼ねる場合における法第14条第1号の政令で定める規模は、同項の規定にかかわらず、同項各号に掲げる建築物の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める階数及び床面積の合計に相当するものとして国土交通省令で定める階数及び床面積の合計とする。

附則第2条第2項が引用しているのは号の細分であるため、「……のうち……」としていながら、第6条第3項の「2以上の号」の「号」に相当する言葉がないため、適切でなくなっている。
ここは、「前項第2号イからホまでに掲げる建築物のうち2以上の建築物(もの)」とすべきであろう。
同様の書き方をしている例として、次の消費税法施行令第57条第2項がある。

(中小事業者の仕入れに係る消費税額の控除の特例)
第57条 次項及び第3項に定めるもののほか、法第37条第1項に規定する政令で定める事業は、次の各号に掲げる事業とし、同項に規定する政令で定める率は、当該事業の区分に応じ当該各号に定める率とする。
(1) 第1種事業 100分の90
(2) 第2種事業 100分の80
(3) 第3種事業 100分の70
(4) 第5種事業 100分の50
(5) 第6種事業 100分の40
2 事業者の営む事業が前項各号に掲げる事業又は第4種事業のうち2以上の事業である場合には、法第37条第1項に規定する政令で定める率は、次の各号に規定する残額の合計額(次項において「売上げに係る消費税額」という。)のうちに当該各号に掲げる金額の合計額の占める割合とする。
(1)〜(6) (略)
3〜6 (略)