書き振りが気になる規定の例(6)

次の規定は、平成26年法律第42号で追加された地方自治法の規定である。

(事務の代替執行)
第252条の16の2 普通地方公共団体は、他の普通地方公共団体の求めに応じて、協議により規約を定め、当該他の普通地方公共団体の事務の一部を、当該他の普通地方公共団体又は当該他の普通地方公共団体の長若しくは同種の委員会若しくは委員の名において管理し及び執行すること(以下この条及び次条において「事務の代替執行」という。)ができる。
2 前項の規定により事務の代替執行をする事務(以下この款において「代替執行事務」という。)を変更し、又は事務の代替執行を廃止しようとするときは、関係普通地方公共団体は、同項の例により、協議してこれを行わなければならない。
3 (略)
(事務の代替執行の規約)
第252条の16の3 事務の代替執行に関する規約には、次に掲げる事項につき規定を設けなければならない。
(1) 事務の代替執行をする普通地方公共団体及びその相手方となる普通地方公共団体
(2)・(3) (略)
(4) 前3号に掲げるもののほか、事務の代替執行に関し必要な事項

第252条の16の2第1項で「当該他の普通地方公共団体の事務の一部を、当該他の普通地方公共団体又は当該他の普通地方公共団体の長若しくは同種の委員会若しくは委員の名において管理し及び執行すること」の略称を「事務の代執行」としている。
しかし、同条第2項の当該略称の部分を置き換えると、「……管理し及び執行することをする事務……」となってしまい、少しおかしいことになる。また、第252条の16の3の当該略称も、同条柱書き及び第4号は問題ないが、同条第1号は同様におかしくなる。
これを改善するためには、「……管理し及び執行すること」の略称とするのでなく、「……管理及び執行」の略称とする必要がある。そうすると、次のような書き方になるだろう。

普通地方公共団体は、他の普通地方公共団体の求めに応じて、協議により規約を定め、当該他の普通地方公共団体の事務の一部について、当該他の普通地方公共団体又は当該他の普通地方公共団体の長若しくは同種の委員会若しくは委員の名において管理及び執行(以下この条及び次条において「事務の代替執行」という。)をすることができる。