書き振りが気になる規定の例(8)

「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律」(平成26年法律第51号)第4条の規定により追加された学校教育法第4条第4項の規定は、次のとおりである。

地方自治法(昭和22年法律第67号)第252条の19第1項の指定都市(第54条第3項において「指定都市」という。)の設置する高等学校及び中等教育学校については、第1項の規定は、適用しない。この場合において、当該高等学校及び中等教育学校を設置する者は、同項の規定により認可を受けなければならないとされている事項を行おうとするときは、あらかじめ、都道府県の教育委員会に届け出なければならない。

太字部の「当該」は、「指定都市の設置する……」という意図なのであろうが、そうすると下線部を言い直すと「指定都市の設置する高等学校及び中等教育学校を設置する者」*1となってしまい、おかしな言葉になってしまう。
ここは、「この場合において」という言葉に続くわけだから、端的に「指定都市」とすれば十分である。「指定都市は、……届け出なければならない」とするのは、少し気持ち悪い感じがするが、学校教育法第4条の2が「市町村は、その設置する幼稚園の設置廃止等を行おうとするときは、あらかじめ、都道府県の教育委員会に届け出なければならない」としていることからすれば、この法律においては、問題とすべき点ではないだろう。

*1:なお、ここで用いられている「及び」は、厳密に言うと「又は」とすべきだろう。