公表制度を用いる意義に関するメモ

平成28年1月に公布された「大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例」は、ヘイトスピーチが行われた事実を公表することとしているが、この公表制度について、宇那木正寛「自治体職員のための政策法務入門第20回」『自治体法務研究NO.45』(P104)には次のように記載されており、公表制度を用いる際の考え方として参考になることがあると思われるので、ここにメモしておく。

こうしたこの公表制度は、一般的には、制裁的な手法であると解されるでしょうが、見方を変えると、ヘイトスピーチは、社会的に是認されるものではないということを、被害者に代わって大阪市という公的主体が宣言するという手法であるとも解されます。すなわち、ヘイトスピーチを刑罰法規をもって社会から完全に排除しようとするのではなく、大阪市という公的主体自らが公表という言論措置によって、ヘイトスピーチを非難するという教育的、啓発的効果も兼ね備えた手法であるということができます。