天皇陛下の生前退位(その2)

典範付則に特別法根拠 論点整理に併記
安倍晋三首相の私的諮問機関「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」は23日に公表する論点整理で、天皇陛下に限り退位を認める特別立法と並び、特別立法での例外的な退位を認める根拠規定を皇室典範の付則に書き込む案も併記する方針を固めた。野党などに典範改正による退位の制度化を求める声があることを踏まえ、特別立法に慎重な意見にも配慮する。
憲法2条は皇位継承について「国会の議決した皇室典範の定めるところにより」継承すると記している。このため特別立法での対応は憲法違反の疑いがあるとの指摘もある。典範の付則に「天皇は特別法の定めるところにより退位できる」などの規定を明記すれば、憲法違反との指摘を払拭できるという考えだ。
有識者会議の専門家ヒアリングでは、保守派の学者らが制度の安定性の観点から退位反対論を主張した。特別立法での対応は、今回限りの特例として退位を認めることで反対論に配慮する。一方で、典範の付則に退位の根拠規定を設ければ、典範改正に一部着手したことになり野党など制度化を求める声にも配慮できる。
政府は、単独の特別立法で対応しても憲法違反には当たらないとの考えを示している。横畠裕介内閣法制局長官は2016年9月の国会答弁で、憲法2条の趣旨について「国会の議決した皇室典範、すなわち法律で適切に定めるべきだと規定している」と述べた。現在の典範が一般の法律と同じ位置づけとなっていることを踏まえた解釈をすべきだとした。このため典範の付則に根拠規定を置く対応は、法律論ではなく保守派と野党の顔を立てる政治的な妥協案の側面が強い。
 (以下略)
毎日新聞2017年1月10日 配信

天皇陛下生前退位については、2016年8月26日付け記事で触れたところだが、その記事にも記載したとおり、皇室典範の附則に根拠を書くのであれば、あくまでも現在の天皇陛下に関することとして記載すべきである。
その場合、皇室典範第4条の特例として書くことになるだろうが、皇室典範には「退位」という用語はないので、次のような規定になるのではないかと思うがどうだろうか。

第4条の規定にかかわらず、別に法律で定めるところにより、皇太子徳仁親王が、別に法律で定める日に皇位を継承する。

(参照条文)

皇室典範
第1条 皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する。
第4条 天皇が崩じたときは、皇嗣が、直ちに即位する。