二段階論
平成28年12月に議員立法として成立した「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」(いわゆるIR推進法)においては、必要な法制上の措置は、別途1年以内に講ずることとしている。このように、いわゆる二段階論が採られた理由について、立案担当者は、次のように説明している。
国会審議においては、「推進法」→「実施法」という形(いわゆる「二段階論」)が採られた理由として、「我が国にカジノというゲーミングを認めるに当たっては、関係する省庁が非常に多」く、「政府が省庁横断的に取り組んで、しっかりとした国民に信頼を得るに値する体制を、監視、管理体制をつくる必要があ」ることから、「議員立法として実施法まで含めて全部提案をするというよりも、プログラム法で方向性をしっかりと示した上で、政府において実施法を策定して国会に再び提出し」、「2回にわたって国会で慎重審議」することにより、「国民の御理解、信頼が得られるような体制を構築すべき」と説明されている(衆議院法制局第一部第一課 中司光紀ほか「IR推進法の制定」『時の法令 NO.2023』(P12))
こうした形で「推進法」の部分を議員立法とすることは、一つの立法の在り方として、自治体における議員提出の条例にも参考になるのではないかと思う。
しかし、二段階論を採った理由として、国民の理解・信頼を得るためとするのであれば、何のための国会なのかという感じがしなくもない。