書き振りが気になる規定の例(15)

次に掲げる規定は、「一般職の職員の給与に関する法律」第11条の規定である。

(扶養手当)
第11条 扶養手当は、扶養親族のある職員に対して支給する。ただし、次項第1号及び第3号から第6号までのいずれかに該当する扶養親族(以下「扶養親族たる配偶者、父母等」という。)に係る扶養手当は、行政職俸給表(一)の適用を受ける職員でその職務の級が9級以上であるもの及び同表以外の各俸給表の適用を受ける職員でその職務の級がこれに相当するものとして人事院規則で定める職員(以下「行(一)9級以上職員等」という。)に対しては、支給しない。
2 扶養手当の支給については、次に掲げる者で他に生計の途がなく主としてその職員の扶養を受けているものを扶養親族とする。
(1) 配偶者(届出をしないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。以下同じ。)
(2) 満22歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子
(3) 満22歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある孫
(4) 満60歳以上の父母及び祖父母
(5) 満22歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある弟妹
(6) 重度心身障害者
3・4 (略)

この第11条第1項ただし書は、「一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律(平成28年法律第80号)」第2条の規定により追加されたものである*1。これは、特定の職員について扶養手当の支給を制限する規定だが、要は当該職員については、扶養手当の支給対象となる扶養親族の範囲を他の職員とは違えることとするものである。
ところで、第11条第1項の「扶養親族」には特別の意味はなく、その範囲は同条第2項で定めている。そうすると、同項ただし書は、同条第2項で規定すべき内容である。
したがって、同条第1項のただし書は削り、同条第2項柱書きを次のように書くことが考えられる。

扶養手当の支給については、次の各号(行政職俸給表(一)の適用を受ける職員でその職務の級が9級以上であるもの及び同表以外の各俸給表の適用を受ける職員でその職務の級がこれに相当するものとして人事院規則で定める職員(以下「行(一)9級以上職員等」という。)に対するものについては、第2号)に掲げる者で他に生計の途がなく主としてその職員の扶養を受けているものを扶養親族とする。

括弧の中の文章が長くなるが、読みにくいという程ではないだろう。

*1:併せて第11条第2号で「満22歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子及び孫」とされていたものを、「孫」に係る部分は同条第3号で規定することとされた。