複数の附則の規定の引用

附則の規定を複数引用する場合には、最初の規定にのみ「附則」と明記し、以降の規定は明記しないのが通常である。
ところで、「天皇の退位等に関する皇室典範特例法(平成29年法律第63号)」の附則第1条の規定は、次のとおりである。

(施行期日)
第1条 この法律は、公布の日から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、第1条並びに次項、次条、附則第8条及び附則第9条の規定は公布の日から、附則第10条及び第11条の規定はこの法律の施行の日の翌日から施行する。
2 (略)

附則の第10条と第11条の引用は、「附則第10条及び第11条」としているのに対し、附則の第8条と第9条の引用は、「附則第8条及び附則第9条」としている。「附則第8条及び第9条」としなかったのは、そうすると「第1条並びに次項、次条並びに附則第8条及び第9条」とする必要があり、表記が長くなることを避けたということだろうか。
ただ、同法の附則第8条は、次のとおりである。

意見公募手続等の適用除外)
第8条 次に掲げる政令を定める行為については、行政手続法(平成5年法律第88号)第6章の規定は、適用しない。
(1)  (略)
(2) 附則第4条第1項第2号及び第2項、附則第5条第2号並びに次条の規定に基づく政令

これは、「附則第5条第2号」の部分を「第5条第2号」としても、単に「附則第4条第1項第2号及び第2項、第5条第2号並びに次条」とすれば足りるので、あえて「附則第5条第2号」とする理由が思い浮かばない。よく分からないところである。