いわゆる私的諮問機関に関する判例について(その2)(5)
(「3 平成26年9月3日大阪地裁判決(平成24年(行ウ)262号)及び平成27年6月25日大阪高裁判決(平成26年(行コ)158号)」の続き)
(3) 判例に対する見解
基本的な考え方は、平成25年11月7日大阪高裁判決と大差ないと思うが、注目すべき点は、独任制の機関についても附属機関となり得るものがあると判断していることである。つまり、市特別顧問など独任制の機関について、附属機関とすべきとしているが、その理由は、自治紛争処理委員が地方自治法において明文で附属機関とされていることに求めている*1。
しかし、判決でも触れているように、自治紛争処理委員は、地方自治法251条の2第10項の規定により一部の職務を合議により行うものとされており*2、その合議により行う職務は、自治紛争処理委員として本質的な職務であることからしても、独任制の機関として活動する側面があることをもって附属機関は独任制でも構わないとすることには直ちにはならないだろう。
むしろ、調査を行うことを職務とする専門委員は条例による必要はない(地方自治法第174条参照)。したがって、附属機関との違いは、独任制であるか合議制であるか(組織であるかどうか)の違いであり、その点を条例によるべきかどうかのメルクマールにしていると考えるべきである。
なお、附属機関であるか否かについて、組織性に着目するのであれば、市採石等公害防止対策協議会は、調査部会や監視部会を置いていることにも着目することになるのではないかと感じる。