公契約条例と指定管理者制度

前回、野田市公契約条例において気になる規定があると記載した。それは、次に掲げる同条例第2条第1号の規定である。

(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 公契約 市が発注する工事又は製造その他についての請負の契約及び野田市公の施設の指定管理者の指定の手続等に関する条例(平成21年野田市条例第7号)第6条第1項の規定により市長又は教育委員会が締結する公の施設の管理に関する協定(以下「指定管理協定」という。)
 (以下略)

気になるのは、この条例の対象となる公契約に、公の施設の管理を指定管理者に行わせる場合に指定管理者と締結する協定を含めている点である。
指定管理者制度は官製ワーキングプアを生んでいるという批判があるところであり、公契約条例を制定しようとするときには、指定管理を対象とするかどうかについては、当然検討される事項であろう。
しかし、指定管理を公契約条例の対象とするのであれば、契約とは性格が違うため、その書きぶりは工夫する必要がある。
自治体が指定管理者に公の施設を管理させようとする場合の手続は、まずその候補者を選定し、議会の議決を経て指定管理者の指定をした後、協定を締結するという流れになる(実務地方自治研究会『Q&A実務地方自治法』(P5301)参照)。つまり、指定管理者を誰にするかを決めるのは、あくまでもその指定である。したがって、例えば指定管理者の雇用者の最低賃金の額を定めたいのであれば、それは指定管理者の指定要件とすべきということになり、その指定後に締結すべき協定の内容とするのは筋が違うように思う。
指定管理の場合に協定を対象としているのは、契約との性質の類似性に着目したのではないかと思うが、少なくともその協定を対象とするのは適切ではないのではないか。