2012-01-01から1年間の記事一覧

義務付け・枠付けの見直しに関する条例における規則への委任

今次の地方分権に係る一括法において行われた義務付け・枠付けの見直しに関して、条例に委任された事項をさらに規則へ委任することについて、国の立案を担当した職員の次のような見解がある。 条例で基準を定めるに当たって、規則への委任範囲についても、各…

「法令エッセイ クロスセッション」終了

執筆、お疲れ様でした。いつも楽しみにしていましたので、残念です。 これで、しばらく『法学セミナー』を手に取ることはないと思います。同じような人は、多いのではないでしょうか。 なお、自治体の法制の難しさについては、私も日頃感じていることがあり…

例規の立案で間違いやすい例(15)

条項の指定を「第○条中第×項……」とした場合に間違いやすいことは、既に何回か取り上げているが(2010年2月26日付け記事「例規の立案で間違いやすい例(8)」、2011年4月9日付け記事「例規の立案で間違いやすい例(11)」及び2012年4月28日付け記事「例…

会議と本部の違いに関するメモ

「会議」や「本部」の名称で機関が置かれることがある。その異同は明確ではないが、川崎政司「基本法再考(2)」『自治研究(第81巻)』に次のような記載があるので、ここにメモをしておく。 会議・本部とも、政策調整などを主たる目的に関係行政機関の長によ…

行政委員会における持ち回り決議の可否

行政委員会の決議を持ち回りで行うことができるだろうか。 国家公安委員会について、次のような国会における内閣法制局の答弁がある。 <第147回国会衆議院決算行政監視委員会(平成12年3月13日)>○保坂展人委員 ……今、警察法の話も出ていましたけれども、…

審議会の会長は委員としての議決権を有するか

審議会について、会長は委員のうちから選任する旨の規定を置いた上で、「審査会の議事は、出席した委員の過半数をもって決し、可否同数のときは、会長の決するところによる」と規定した場合、会長は委員としての議決権を有することになるのだろうか。 法制意…

語句の改めと条の移動がある改正で、後者を先に施行する場合の改正規定の特定

洋々亭フォーラムから 以下の一部改正規則についてお伺いします。第1条の次に新規の第2条を加える改正と、旧第3条中「A」を「B」に改める改正からなります。ただし、「A」を「B」に改める改正は1か月遅れて施行したいものとします。〇〇市△△△△規則(…

法律事項を政令事項とした例

条例が規則等に委任することができる事項は、一般的に法律が政令等の命令に委任することができる事項と同様に、技術的・専門的な事項や機動的・弾力的に対処しなければならない事項などとされている(大島稔彦『法令起案マニュアル』(P41)参照)。 しかし、…

準用規定をその一部を除いて準用する場合

次のような準用規定があったとする。 第○条 第5条、第8条から第10条まで、第12条及び第13条の規定は、○○について準用する。 この規定を準用したいのだが、第12条の規定だけ準用したくない場合、どのようにすべきだろうか。 まず、次のように読み替えで対応…

目的規定〜日弁連行訴法第2次改正案に関する議論から

『判例時報(2159号)』に、平成24年2月13日に行われた「行政事件訴訟法第ニ次改正シンポジウム」の概要が記載されている。その中で、日本弁護士連合会による行訴法第二次改正案における目的規定についての議論に興味が引かれたので、それを取り上げる。その…

みなし公務員規定と条例

刑罰に関する事項は、法令に特別の規定のない限り、一般的に条例事項であるとはいえない。 以前、両罰規定における法人格のない団体を処罰する場合の規定に関して取り上げたことがあるが(2012年4月20日付け「両罰規定における法人格のない団体に関する規定…

改正後の法令の題名に付された略称は改正前の法令の題名に及ぼすことができるか

法令の題名の改正が行われ、改正後の題名に略称が置かれた場合に、その略称を改正前の題名にも及ぼすことができるであろうか。 次のような例がある*1。 高齢者の医療の確保に関する法律施行令(平成19年政令第318号)(法第18条第1項に規定する政令で定める…

どこまで合理的な改め文とするか

一般的に例規の改正は、できるだけ合理的に行うこととし、改め文は、できるだけ短いものとすべきものとされている。 ところで、次のような改め文がある。 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の一部を改正する法律(平成24年法律第53号)(暴力団…

「です・ます調」の条例

このブログは、個人的に「です・ます調」の方が適当と思うときは、そのようにしている。今回も、感覚的には「です・ます調」にしたいところだが、あえて「である調」で書くことにする。 いじめ防止条例 地域あげて許しません子どものいじめを防ごう−。その一…

一括法で委任された事項に関する雑感(3)〜基準該当通所支援

社会福祉制度において契約的な考え方を取り入れているもののサービスに、基準該当サービスというものがある。例えば介護保険法においては、保険給付の対象となる指定事業者としてのサービスの本来の要件の一部は満たしていないが、一定の水準を満たすサービ…

同じ題名の例規を複数引用している例

法令中に他の法令を引用する場合は、「その引用する法令の題名を掲げ、その下(横書きであれば、その右)にその法令の法令番号を括弧書きするのが原則である」(法制執務研究会『新訂ワークブック法制執務』(P128))。 ところで、一部改正法令によくあるよう…

一括法で委任された事項に関する雑感(2)〜指定介護療養型医療施設

旧介護保険法に基づく施設として指定介護療養型医療施設がある。これは、都道府県知事が指定する介護療養型医療施設である。介護療養型医療施設とは、療養型病床群等を有する病院であって、当該療養型病床群等に入院する要介護者に対し、施設サービス計画に…

一括法で委任された事項に関する雑感(1)〜指定猟法区域等の標識の寸法

以前kei-zuさんも取り上げていたが、鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律で、都道府県知事が設置する指定猟法区域等を表示する標識の寸法を定めることが条例に委任された。法律の規定は、次のような規定になっている。 ……標識に関し必要な事項は、環境省…

義務付け・枠付けの存置を許容する場合のメルクマール

今次の地方分権に係る一括法において行われた法令による義務付け・枠付けの緩和については、平成20年5月28日に出された地方分権改革推進委員会の第1次勧告において、次の7項目をその存置を許容する場合のメルクマールとしてその後の作業を進める旨が記載…

「法制執務詳解(新版?)」

「法制執務詳解」は、自治体職員にとっては法制執務のバイブルとも言える書籍ですが、当初、私はこの改訂版を購入するつもりはありませんでした。しかし、100頁程増えたということで、内容的にどの程度変わっているのか興味があったので、結局購入してみるこ…

雑記

○○省の○○省令との格闘もようやく終わりに近づきつつあります。 昨日、最後まで難儀していたものについて手術を施しました。 1週間くらいかけて経過観察をしますが、よほどの副作用がない限り、大丈夫でしょう。 これを絶世の○○とする程の時間も技術もないの…

雑記

今週も、更新を休みます。 1月以内には更新できると思います。 まだ、○○省の○○省令との格闘が続いています。 この様子も、取り上げてみたいと思っています。

雑記

今週は、更新を休みます。 ○○省の○○省令に苦労しています。 もう少し何とかならないかなあ……

自治体職員の政治的行為に罰則を科すこと

2012年7月27日、大阪市において、職員の政治的行為を制限する条例が成立した。これに関しては、以前次のような報道がなされていた。 橋下市長:政治活動の職員、懲戒免職に大阪市の橋下徹市長は20日、市職員の政治活動を勤務時間内外を問わず規制強化する条…

例規の立案で間違いやすい例(14)

社会生活基本調査規則の一部を改正する省令(平成23年総務省令第36号)社会生活基本調査規則(昭和56年総理府令第38号)の一部を次のように改正する。 (略)第6条第1項第3号中チ及びリを削り、トをルとし、ヘをリとし、リの次に次のように加える。ヌ 希…

条例による法令の上書き(下)

第2期地方分権改革における地方分権改革推進委員会は、事務の処理又はその方法の法令による義務付けについて条例による補正(補充・調整・差し替え)を許容することを地方自治体による法令の『上書き』を確保しようとするものと位置付け、「参酌すべき基準…

条例による法令の上書き(中)

国会における東日本大震災復興特別区域法案の審議において、条例による法令の上書きに関する内閣法制局の見解が表れている部分を次に引用する。 <第179回国会衆議院東日本大震災復興特別委員会(平成23年11月24日)>○秋葉委員 ……さて、法案の中にもう少し…

条例による法令の上書き(上)

東日本大震災復興特別区域法案に関する国会の審議で、条例による法令の上書きに関して議論がなされているが、河北新報の2012年5月29日付け社説には、次のように記載されている。

第2期地方分権改革に係る一括法における経過規定

平成23年5月と8月に制定された「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律」は、第1次一括法、第2次一括法などと称され、現在、第3次一括法案が国会に提出されている。 これらの一括法に対する評価は、今…

定義規定を項で書く場合と号で書く場合の基準

総則規定として置かれる定義規定の書き方は、項で書く場合、つまり「この条例において「○○」とは、……をいう。」とするものと、号で書く場合、つまり「この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。」という柱書きを書き…