2006-01-01から1年間の記事一覧

なぜ『「○○」の前に「△△」を加える』としないのか

最近、横書きの例規で『「○○」の前に「△△」を加える。』という改め文を見て、びっくりした*1。もちろん、「○○」は、その条の冒頭の語句ではあったのだが、これはなしだろうと思ったわけである。 私が例規審査をやっていたときも、このようになっている原案は…

両罰規定

前回、個人情報保護条例の改正の際の罰則に関することについて記載したので、それに関連したことを記載することとしたい。 同条例の改正に関する原案には、法律と同様の罰則規定を設けることに加え、両罰規定が盛り込まれていた。その理由は、両罰規定を設け…

自治体の区域外にある者を処罰する規定

行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律の制定に併せて、各自治体では個人情報保護条例の改正が行われている。 ところで、この法律は、職員又は個人情報の取扱いに関する受託業務への従事者が個人情報を提供した場合等についての罰則規定を置いている…

目的規定の意義

これまで、何度か目的規定について記載したが、今回は、その意義みたいなことを記載してみたい。 私自身、当たり前のように、第1条には目的規定(又は趣旨規定)を置くことが普通だと思い込んでいた。前田正道『ワークブック法制執務(全訂版)』(P70)*1…

号の細分を引用した後に、それを受けて書く場合の書き方

田島信威『最新法令用語の基礎知識(改定版)』(P140)には、各号列記の形で並記したものを柱書きの部分において「次の各号……」と引用する場合として、次のように記している。 「次の各号……」と書くのは、①「次の各号のいずれかに該当する……」と書く場合か…

目的等規定(趣旨等規定)

nationfreeさん(http://d.hatena.ne.jp/nationfree/20061123)が触れているのを拝見したので、取り上げてみます。 持ち込まれた条例案の原案が全体で5条程度だったのだが、その第2条が定義規定にされていたものがあった。 定義している語句は1つだけだっ…

前文の追加

だいぶ前になりますが、washitaさん(http://d.hatena.ne.jp/washita/20061003)が取り上げているのを見て興味を持ったので、私も取り上げてみることにしました。 前文を追加することが技術的にできることは異論がないと思う。 では、前文を追加することがお…

高次の目的を掲げる場合の目的規定

目的規定に、直接的な目的とその達成の手段とに加えて、高次の目的を掲げる場合は、長文になることが多く、苦労したものである。 大島稔彦『法令起案マニュアル』(P188)には、この場合の基本的パターンとして次のように示されている。 この法律は、…(目的…

目的規定

前回、目的規定に関連したことについて触れたので、今回は、目的規定を書く際に気を付けていたことを2点程記す。 1点目は、目的達成の手段を書いている部分に、条例で定めている事項をすべて網羅させるということである。 この法律は、食品循環資源の再生…

「とともに」という用語について

私は、例規審査の業務を始めた頃は、基本条例の審査が嫌いであった。 基本条例の目的規定とか基本理念を定める規定とかは、往々にして原課の思い入れが強く、とかく冗長になりがちであったが、もともと国語がそれほど得意ではなかった私は、なかなかきれいに…

「〜し、及び〜する」とするか「〜し、〜する」とするか

「〜し、及び〜する」のように、動詞を「及び」で結ぶ文章は、例規審査をやるまではほとんど書いたことがなかったので、当初は、違和感を持ったものである。 ところで、次に掲げる中央省庁等改革基本法第38条第2号の規定のように「〜し、〜する」とする場合…

二段ロケット方式における題名の改正

いわゆる「二段ロケット方式」により条例の改正を行う場合に、第1条で題名改正を行わなければならないときがあった。 用例の確認をしたところ、次のような例があった。 環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法律の一部を改正する法律(平成12年法律第19…

条例の施行期日を定める規則の施行期日を定めることは必要か

条例の委任に基づき、当該条例の施行期日を定める規則において当該規則そのものの施行期日を定める必要があるかどうかについて問題とされることがある。これは、規則に施行期日を置かないと、公布の日から起算して10日を経過した日から施行されることになる…

複数の章にまたがって連続している条を移動させる場合の改め文の区切り方

今回は、複数の章にまたがって連続している条を移動させる場合に、章ごとに区切って行うべきかどうかについて記す。 例えば、第2章にある第6条及び第7条と第3章にある第8条から第10条までを1条ずつ繰り下げる場合に、法令では、 <ケース1>第3章中…

条を移動させる改正を行う場合の改め文の区切り方

条例等の一部改正をする場合には、原則として条ごとに区切って行うが、その例外の1つとして、単純に条の移動だけであれば連続して行うこととされている。しかし、個々のケースによっては、どこで区切るべきか迷うことがある。 例えば、第6条を削り、第7条…

「第○条の規定による××」とするか「第○条に規定する××」とするか

ある規定中の文言を受けて書く場合、「第○条の規定による××」とするか、「第○条に規定する××」とするかは、結構悩むことがあった。 法律でも、例えば「〜届け出なければならない」という「届出」を受けて書く場合に、「第○条の規定による届出」と書いている…

条例で規則へ委任することを規定することについて

条例において、「〜については、規則で定める」というような形で細目的な事項に関する定めを規則に委任することはよく行われているし、そのことについて特に疑問を呈している見解は見たことがない。 国における命令は、委任命令又は執行命令という形でしか制…

題名に自治体名を付すべきか

法制執務に関する研修会の講師を務めたときに、「私は○○市の職員ですが、条例の題名は、『○○市××条例』のように自治体の名前を入れた方がいいのでしょうか。」という質問を受けたことがあった。 条例等の題名に自治体名を付すべきかどうかについては、これを…

はじめに

私は、ある自治体の職員で、あと数年すると職員になってから20年になろうとしています。その間、何回か人事異動も経験しましたが、その度に感じたことは、個人の持つノウハウの引継ぎが十分なされていないのではないかということでした。 そこで、私は、事務…