書き振りが気になる規定の例(19)

「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」は、狩猟をしようとする者は都道府県知事の免許(以下「狩猟免許」という。)を受けなければならないとし(同法第39条第1項)、狩猟免許を網猟免許、わな猟免許、第一種銃猟免許及び第二種銃猟免許の4種類に区分している(同条第2項)。そして、狩猟免許を受けるには、都道府県知事の行う狩猟免許試験を受けなければならないが(同法第41条)、狩猟免許の欠格事由及び狩猟免許試験の受験資格について同法は次のように規定している。

(狩猟免許の欠格事由)
第40条 次の各号のいずれかに該当する者に対しては、狩猟免許(第6号の場合にあっては、取消しに係る種類のものに限る。)を与えない。
(1) 網猟免許及びわな猟免許にあっては18歳に、第一種銃猟免許及び第二種銃猟免許にあっては20歳に、それぞれ満たない者
(2) 精神障害又は発作による意識障害をもたらし、その他の狩猟を適正に行うことに支障を及ぼすおそれがある病気として環境省令で定めるものにかかっている者
(3) 麻薬、大麻、あへん又は覚醒剤の中毒者
(4) 自己の行為の是非を判別し、又はその判別に従って行動する能力がなく、又は著しく低い者(前3号に該当する者を除く。)
(5) この法律又はこの法律に基づく命令の規定に違反して、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から3年を経過しない者
(6) 第52条第2項第1号の規定により狩猟免許を取り消され、その取消しの日から3年を経過しない者
(受験資格)
第47条 第40条各号のいずれかに該当する者は、狩猟免許試験を受けることができない。

狩猟免許の欠格事由と狩猟免許試験の受験資格は、基本的にはパラレルになっているが、規定だけ見ると異なる扱いとなるのは、第40条第6号の定めである。
つまり、狩猟免許の欠格事由は、第40条の柱書で「第6号の場合にあっては、取消しに係る種類のものに限る」とされているので、例えば第52条第2項第1号の規定により*1、第一種銃猟免許を取り消され、3年を経過していない者であっても、網猟免許であれば受けることができることになっている。
しかし、狩猟免許試験の受験資格は、第一種銃猟免許を取り消されて3年を経過していないのであれば、網猟免許試験の受験資格もないことになる。
実務を承知していないのでこれでよいのかもしれないが、普通に考えれば、狩猟免許試験の受験資格は狩猟免許の欠格事由と同一であるべきではないかと思われる。第40条の「第6号の場合にあっては、取消しに係る種類のものに限る」という限定を柱書でかけたのは、第6号では書き難かったような感じがするが、そうすると、第47条でも同様の手当てをすべきだったのだろう。

*1:第52条第2項は「管轄都道府県知事は、狩猟免許を受けた者が次の各号のいずれかに該当するに至った場合は、その者の狩猟免許の全部若しくは一部を取り消し、又は一年を超えない範囲内で期間を定めて狩猟免許の全部若しくは一部の効力を停止することができる」とし、同項第1号は「この法律若しくはこの法律に基づく命令の規定又はこの法律に基づく処分に違反したとき」としている。