2015-01-01から1年間の記事一覧

「○○法の施行に関する規則」

自治体が法律を施行するために制定する規則の題名は、省令のそれが「○○法施行規則」とされるため、「○○法施行細則」とするのが一般的となっている(2007年11月23日付け記事「例規の形式(13)〜その他(その2)」参照)。 山形県でも、かつては同様の取扱い…

身分証明書の様式を一括して定める規則〜参考になる例規(1)

今、都道府県の例規にどのようなものがあるか確認しているところであり、興味が引かれた例規を取り上げていくこととしたい。第1回目は、身分証明書の様式を一括して定める規則である。 職員が立入調査等を行う場合に携帯する身分証明書の様式は、自治体では…

改正規定の特定の仕方〜項の移動と追加が混在する事例

以前、条の字句を改めるとともに、当該条を移動し、当該条の前に1条を加える改正規定の特定は、「第○条の改正規定及び同条を第△条とし、第×条の次に1条を加える改正規定」、あるいは「第○条を改め、同条を第△条とし、第×条の次に1条を加える改正規定」と…

「ごみ屋敷条例」に基づく行政代執行

washitaさん経由 「ごみ屋敷条例」で私有地から古新聞や雑誌を撤去・・・初の行政代執行をどうみるか?京都市の50代男性が自宅前の私道に古新聞や雑誌を積み上げて、「ごみ屋敷」となっていたことから、京都市は11月中旬、行政代執行で強制的に撤去をおこな…

例規の立案で間違いやすい例(39)

雇用保険法施行規則の一部を改正する省令(平成26年厚生労働省令第52号) (略)第101条の2の2第1項中第7号を第8号とし、第6号を第7号とし、同項第5号中「当該教育訓練」を「第101条の2の7第1号に規定する一般教育訓練」に、「第101条の2の4」…

なぜ読点を付けるのだろうか

平成26年4月に公布された水循環基本法には、次の規定がある。 (施策の基本方針)第9条 水循環に関する施策は、有機的連携の下に総合的に、策定され、及び実施されなければならない。 気になるのは、「総合的に」の次にある読点である。普通であれば、「策…

手数料の額の算定に関するメモ

食品衛生法に基づく登録検査機関は、その業務規程に検査手数料に関する事項を定めておかなければならないが(同法第37条第2項)、その手数料の額の定め方について、次のとおり厚生労働省から通知が出されている(食品衛生法規研究会『逐条解説食品衛生法』(…

組織の名称〜独立行政法人労働者健康安全機構

「独立行政法人に係る改革を推進するための厚生労働省関係法律の整備等に関する法律」(平成27年法律第17号)により、独立行政法人労働安全衛生総合研究所(安衛研)と独立行政法人労働者健康福祉機構(労福機構)を統合し、新法人の名称を「独立行政法人労…

施行期日の起算点を法律の成立の日とした例

第2回国会に提出された「郵便法の一部を改正する法律案(内閣提出)(第39号)」の施行期日は、「この法律は、その成立の日から起算し、10日を経過した日から、これを施行する。」とされており、これについて次のような議論がされている。 <第2回国会衆議…

制度改正の動機〜プロ野球ドラフト会議の一件から

22日に行われたプロ野球ドラフト会議における明治大学の高山選手の指名抽選において、ヤクルトの真中監督が外れくじを当たりと勘違いしてインタビューを受けてしまったことがニュースになっている。 マスコミは、日本野球機構(NPB)を非難し、くじの記載…

NHK受信料の義務化

NHK受信料:自民小委が「義務化」を提言自民党情報通信戦略調査会放送法の改正に関する小委員会(委員長=佐藤勉・衆院国対委員長)は24日、NHKや総務省に対し、NHKの受信契約の有無に関わらず受信料を徴収する「支払い義務化」を求める提言をまと…

例規の立案で間違いやすい例(38)

水質汚濁防止法施行規則等の一部を改正する省令(平成27年環境省令第33号)(排水基準を定める省令の一部改正)第2条 排水基準を定める省令(昭和46年総理府令第35号)の一部を次のように改正する。別表第1のトリクロロエチレンの項中「0.3ミリグラム」を…

都道府県条例と市町村条例の適用区分の規定に関するメモ

鹿児島大学の宇那木准教授は、都道府県条例において、市町村条例との間に競合関係が生じる場合の適用区分を定める規定のパターンを、次のとおり分類しているので(「自治体職員のための政策法務入門 都道府県と市町村条例1」『自治体法務研究NO.42』(P99〜)…

新安保法に関する雑感

19日未明にいわゆる安保法案が成立した。私は、安保法制に精通しているわけではなく、十分理解しているとも言い難いのだが、国民一般にも大きな関心を呼んだ法案でもあるので、私自身が感じたことを書き留めておくこととする。 安保法案に対する批判は、法制…

組織の責任

東京都檜原村において、村議会が住民訴訟で確定した村長に対する損害賠償債権を放棄する旨の議決をしたため、同村の住民が同村の代表監査委員に対し、村長に当該確定判決に係る損害賠償金の請求を目的とする訴訟を提起することなどを求めた訴訟において、東…

号と項をまとめて追加する例

既存の条項に号を追加するとともに、その条に項を追加する場合、通常は、別の改め文で追加することになる。一般的な法制執務の解説書でも、号の追加と項の追加は、別々に説明している。 しかし、これをまとめて追加する例がある。例えば、「独立行政法人国際…

例規の立案で間違いやすい例(37)

総務省組織規則の一部を改正する省令(平成26年総務省令第27号) (略)第22条の見出し及び同条第1項中「外国人住民基本台帳室」を「企画官」に改め、同条第3項を削り、同条第4項を同条第3項とし、同条第2項を次のように改める。2 (略) 第2項の全部…

なぜ読点を付けないのだろうか

読点の付け方は、一定の慣用はあるものの、その慣用に従うと、かえって条文の意味が不分明になるおそれがある場合等には、この慣用によらないことも認められる(法制執務研究会『新訂ワークブック法制執務』(P650)参照)。 したがって、必ずしも間違いではな…

例規の立案で考えられない間違いをしている例(1)

今まで「例規の立案で間違いやすい例」で取り上げてきた省令のうち、とても考えられない枚違いをしている事例については、今回から「例規の立案で考えられない間違いをしている例」として取り上げることにします。 工業統計調査規則の一部を改正する省令(平…

追記

2012年4月20日付け記事「両罰規定における法人格のない団体に関する規定」に追記しました。

免状の規定

消防法に基づく危険物取扱者免状については、次の同法第13条の2の規定において、免状の種類のみ法律で規定し、その免状を有することで行うことのできる事務等については、省令に委任している。 第13条の2 危険物取扱者免状の種類は、甲種危険物取扱者免状…

安易にコピペすると……

在外選挙人名簿の登録申請に関する領事官の管轄区域を定める省令の一部を改正する省令(平成25年総務省令・外務省令第3号)附 則(経過措置)第2条 この省令の施行前に次の表の上欄に掲げる領事官(領事官の職務を行う大使館若しくは公使館の長又はその事…

新幹線鉄道騒音に係る環境基準の類型を当てはめる地域の指定を知事の権限としていることについて

環境基準とは、人の健康の保護及び生活環境の保全のうえで維持されることが望ましい基準として、終局的に、大気、水、土壌、騒音をどの程度に保つことを目標に施策を実施していくのかという目標を定めたものである(環境省ホームページ参照)。 環境基準につ…

憲法第9条第2項

現在国会で議論されている、いわゆる安保法案については、憲法第9条に反し、違憲ではないかとの意見が多いところであるが、同条第2項を、その文理から自衛のための戦力は保持が認められると解釈する者もいるので、それを取り上げることとする。 憲法第9条…

例規の立案で間違いやすい例(36)

水先法施行規則の一部を改正する省令(平成25年国土交通省令第99号)水先法施行規則(昭和24年運輸省令・経済安定本部令第1号)の一部を次のように改正する。第1条の2第1項中「記載すること」を「記載したもの。第3項、第5条第1項及び第9条第2項に…

指定機関の監督規定に関するメモ

原田大樹『行政法学と主要参照領域』(P297〜)には、指定機関の監督規定の内容に応じて、以下の7つのグループに分類できる旨記載されているので、ここにメモしておく。 1 一般的監督権限(事務規程認可、立入検査権、指定取消権、財務諸表の作成など) <例…

書き振りが気になる規定の例(3)

次の規定は、建築物の耐震改修の促進に関する法律施行令附則第2条の規定であり、平成25年政令第294号により追加されたものである。 (地震に対する安全性を緊急に確かめる必要がある大規模な既存耐震不適格建築物の要件)第2条 法附則第3条第1項の政令で…

漢字で表記される言葉を平仮名とする手法

平成26年11月28日に公布された「まち・ひと・しごと創生法」は、「まち」、「ひと」、「しごと」という通常であれば漢字で表記される言葉を平仮名で記載している。これを漢字ではなく平仮名としたのは、「わかりやすさや親しみやすさを込めたということに加…

答弁の補佐で処分?

「官僚、必ず処分する」民主・小西氏、声荒らげ民主党の小西洋之参院議員は9日の参院外交防衛委員会で、集団的自衛権の憲法解釈を巡る質疑の際、中谷防衛相の答弁を巡り、秘書官が防衛相に耳打ちしたと指摘したうえで、「国会議員が真剣勝負で議論している…

多選自粛条例破り

埼玉の上田知事、4選出馬へ 多選自粛条例破り8月9日に投開票される埼玉県知事選で、上田清司知事(67)が4選をめざして立候補する意思を固めたことが3日、複数の関係者への取材でわかった。任期を連続3期までと自ら定めた「多選自粛条例」を破っての立…