2013-01-01から1年間の記事一覧

雑記

仕事のほうが忙しくなってきており、次回の更新は、数週間先になってしまうと思います。 このブログを見ていただいている皆様、本年もありがとうございました。良いお年をお迎えください。

号(下)

<事例3> たばこ税法(昭和59年法律第72号)(未納税引取)第13条 次の各号に規定する者が当該各号に掲げる製造たばこを保税地域から当該各号に掲げる場所に引き取ろうとする場合において、政令で定める手続により、その保税地域の所在地を所轄する税関長…

号(上)

幾つかの事項を列記する場合に用いる号は、「次に掲げる○○」として1つの号に1つの事項を列記したり、「次の各号に掲げる○○の区分の応じ当該各号に定める○○」として1つの号に2つの事項を列記したりする。 しかし、号の用いられ方は、それらに限られない。…

相手の立場に立って書く文書

ある資格の審査を行うことを公告する文書の相談を受けた。その審査は、2年ごとに行っているものであり、現在の資格は、平成24年度と平成25年度分であるため、本年度中に審査を行うというものである。ただし、今回は、有効期間を平成26年度の1年間とし、現…

例規の立案で間違いやすい例(23)

動物の愛護及び管理に関する法律の一部を改正する法律(平成24年法律第79号)*1動物の愛護及び管理に関する法律(昭和48年法律第105号)の一部を次のように改正する。 (略)第12条第1項中……を加え、同項第2号を削り、同項第3号を同項第2号とし、同項第…

一括法で委任された事項に関する雑感(5)〜風致地区に係る条例の制定権限の移譲

「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律の一部の施行に伴う国土交通省関係政令等の整備等に関する政令(平成23年政令第363号)。以下「整備政令」という。)」により都市計画法施行令及び「風致地区内にお…

「等」と「など」

法令における「等」と「など」の使い方については、従来は全て「等」を用いていたが、最近は「など」を用いる例も見られるようになっている*1。 しかし、実際には「等」と「など」の使い分けは、難しい。廣瀬菊雄『公用文 用字用語の要点』(P266)は、次のよ…

用語を定義するかしないか(下)

男女共同参画基本法のほかに「男女共同参画」という用語が使われている法律は、次の7本である。 少子化社会対策基本法 国家公務員制度改革基本法 特定非営利活動促進法 公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律 独立行政法人国立女性教育会館法 …

用語を定義するかしないか(上)

ある用語を用いる場合に、定義しなければいけないかどうか悩むことがある。なかには、同じ用語でも定義をしたり、しなかったりすることがある。 例えば、「子どもの貧困対策の推進に関する法律」では、「子どもの貧困」や「子ども」について定義されていない…

附属機関の設置に関する通則条例を制定している自治体

以前(2013年8月17日付け記事「いわゆる私的諮問機関に関する判例について(5)」)、附属機関設置条例について通則条例を定め、規定する内容を簡略化している自治体があることを記載したが、都道府県と政令市における制定状況を確認したので*1、メモをし…

内閣法制局における審査

衆議院議員の江田憲司氏が、かつて通商産業省(現・経済産業省)在籍時に内閣法制局の審査を受けたときのことを、自身のサイトで次のように記している。 世間で「法の番人」と呼ばれる内閣法制局は、霞が関では「法匪(ほうひ)」と呼ばれていた。私が通商産…

省令の全部改正

法律の全部改正は、題名の次に「……法(……)の全部を改正する。」といった制定文が付けられるが、それ以外は新規制定と異なる点はない。政令の場合も、全部改正を示す制定文が付される以外は新規制定と異なる点がないことは法律の場合と同じである。 しかし、…

「当該」と「その」

法令用語としてよく取り上げられるものに「当該」がある。この「当該」は、古風な漢語調の用語であり、「その」と意味がほとんど変わらないため、「当該」ではなく「その」を使うようにしたらよいとの意見もある(田島信威『法令用語ハンドブック(三訂版)…

子どもの権利擁護のための条例

子どもの権利擁護のための条例を制定する自治体がある。これは、我が国が平成6年に「児童の権利に関する条約」を批准したことを契機としてのもののようである。 しかし、子どもの権利を主張することに対し、「子どもには権利より義務、責任が大事」といった…

一括法で委任された事項に関する雑感(4)〜社会福祉の分野における最低基準の制定権限の移譲

いわゆる一括法により条例事項とされたものについては、その移譲先が適切とは思えないもの、例えば都道府県に移譲された事項が本来であれば市町村に移譲されるべきであったのではと思えるものがある*1。 さらに、社会福祉の分野において、本来国が定めるべき…

例規の立案で間違いやすい例(22)

以前(「例規の立案で間違いやすい例(18)」)変わった外務省令を取り上げたことがあったが、今回取り上げる外務省令もちょっと考えられないものである。 領事官の徴収する手数料の額を定める省令の一部を改正する省令(平成24年外務省令第10号)領事官の徴…

自治体の組織と条例(下)

今回は、自治体の組織の条例設置に関し幾つか出されている土木事務所等の行政実例を取り上げる。 以前(2007年5月5日付け記事「自治体の組織(5)〜各執行機関(特に長)の組織・?出先機関(その2)」)、行政実例では条例設置を要しないこととされてい…

自治体の組織と条例(上)

先に「いわゆる私的諮問機関に関する判例について」という記事(2013年7月20日付け、7月27日付け、8月3日付け、8月10日付け及び8月17日付け記事)で、要綱等で設置されたいわゆる私的諮問機関が条例で設置しなければならない附属機関に当たるとされた…

バランスの悪い経過規定の例〜動物愛護法改正関係

以前(2013年3月9日付け記事「規制を行う場合の規定例〜動物愛護法の例」)取り上げた「動物の愛護及び管理に関する法律」(以下「法」という。)を改正する平成24年法律第79号(以下「改正法」という。)では、次のような改正がなされている。 改正前の動…

例規の立案で間違いやすい例(21)

東日本大震災復興特別会計事務取扱規則(内閣府令・復興庁令・総務省令・法務省令・外務省令・財務省令・文部科学省令・厚生労働省令・農林水産省令・経済産業省令・国土交通省令・環境省令・防衛省令第1号)第1条〜第8条 (略)別表第1〜別表第4 (略…

いわゆる私的諮問機関に関する判例について(5)

今回は、今まで取り上げてきた判例について総括し、まとめとしたい。 これまで取り上げてきた判例は、いずれも附属機関に当たらないとする自治体側の主張を退けているが、裁判所は、形式的に法の附属機関の規定を引用し、あとは自治体側の主張に理由がないと…

いわゆる私的諮問機関に関する判例について(4)

4 平成23年3月23日横浜地裁判決(平成21年(行ウ)第71号)及び平成23年 9月15日東京高裁判決(平成23年(行コ)第143号) (1) 対象 一般廃棄物処理施設をPFI法の趣旨に基づいたDBO(公設民営)方式で建設することを計画し、その事業者の選定に当た…

いわゆる私的諮問機関に関する判例について(3)

3 平成21年6月4日広島高裁岡山支部判決(平成20年(行コ)第8号)(第1審:平成20年10月30日岡山地裁判決(平成19年(行ウ)第6号)) (1) 対象 町内会における住民間の対立等の混乱が生じたため、専門的な知見を有する第三者から幅広い意見を聴取し、…

お詫び

現在自宅パソコンで更新することができない状態であり、いただいたコメントに対して返信のコメントをさせていただくのが遅くなってしまっています。 御容赦ください。

いわゆる私的諮問機関に関する判例について(2)

2 平成14年9月24日福岡地裁判決(平成13年(行ウ)第25号) (1) 対象 福岡県若宮町*1が設置した「まちづくり委員会」。当初は(平成9年9月)、規則(若宮町21まちづくり委員会設置規則)により設置していたが、平成13年10月、条例(若宮町21まちづくり委…

いわゆる私的諮問機関に関する判例について(1)

要綱等で設置するいわゆる私的諮問機関について以前取り上げたことがあるが(下記私的諮問機関に関する記事参照)、下級審ではあるが、条例で設置しなければならない附属機関であるとして違法とする判例が出されていることから、裁判所はどのような判断をし…

選挙における戸別訪問禁止の立法事実

7月21日に投票が行われる参議院選挙は、インターネット選挙運動の解禁という選挙運動の方法が変化した選挙である。 選挙運動と言うと詳細な規制がなされており、ここまで規制する必要があるのかと批判されているものもある。その一つが戸別訪問の禁止である…

条例目的と立法事実

弁護士会は、児童ポルノの規制について条例の必要性を裏付ける立法事実について、(1)刑罰による児童ポルノの規制は法律によるべきで、条例による刑罰規制は地域的特性に応じた必要性がある場合に行われるべき、(2)しかし規制対象行為が他の地域ではなく特に…

例規の立案で間違いやすい例(20)

沖縄振興特別措置法の一部を改正する法律(平成24年法律第13号) (略)第42条の見出しを……に改め、同条第3項及び第4項の規定中……に改める。 連続する条等を指示する場合に「……の規定中」とする場合があるが、それは、連続する3以上の条等を指示する場合…

「することができる」は「しなければならない」なのか

最近、「『取り消すことができる』と書かれている規定について『取り消さなければならない』という運用をしていると言われたが、そんなことがあるのか」と聞かれた。 一般的には、「取り消すことができる」とされていれば行政庁に効果裁量を認めた規定であり…