様式の表示(1)

様式は、法律又は政令で定められることがほとんどないので、ローカルルールが多い分野であると思う。
そのうち、様式の表示をどのようにするかについて、石毛正純『自治立法実務のための法制執務詳解(四訂版)』(P66)には、次のように記載されている。

様式が1つの場合には、様式の右肩に「別記様式」又は単に「様式」と表示し、2つ以上の場合には、様式の左肩に「別記様式第1号」「別記様式第2号」……又は「様式第1号」「様式第2号」……と表示する。

しかし、これは必ずしも一般的な考えとは言えないのではないだろうか。
法律・政令で様式を定めている例としては、総務省・法令データ提供システムで検索したところ、次の9件があった*1

<法律>
最高裁判所裁判官国民審査法(昭和22年法律第136号)
政令
最高裁判所裁判官国民審査法施行令(昭和23年政令第122号)
検察審査会法施行令(昭和23年政令第354号)
未復員等についての届に関する政令(昭和24年政令第5号)
統計法施行令(昭和24年政令第130号)
国土調査法施行令(昭和27年政令第59号)
物価統制令施行令(昭和27年政令第319号)
日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法施行令(昭和29年政令第149号)
職員の服務に関する政令(昭和41年政令第14号)

これらの法律・政令のほとんどが、様式は1つしか定めていない。その場合の様式の表示は、「別記様式」としているものが多いのだが、最高裁判所裁判官国民審査法及び同法施行令では、本則における引用は「別記様式」とし、様式の表記は「別記」としている。また、国土調査法施行令では、別表の1つとして様式を定めている。
唯一、複数の様式を定めているのが、検察審査会法施行令であるが、それは、「別記第1様式」「別記第2様式」……としている。
これらは、いずれも古い法令なので、参考にするのには躊躇する面もあろう。なかでも、様式を別表の1つとしてしまうことには、ローカルルールに慣れているせいもあろうが、抵抗を感じる。
様式ではないのだが、国旗及び国家に関する法律(平成11年法律第127号)は、日章旗の制式と君が代の歌詞・楽曲を定めるのに、「別記第1」「別記第2」としている。今後、法律・政令のレベルで様式を定めることはほとんどないであろうが、仮に定めるとすると、1つの法令で定める様式の数が幾つもあることは想定しずらいので、この法律と同様にするのではないかという感じがする(したがって、様式が1つの場合には、単に別記とするわけである)。
しかし、自治体の規則等で様式を定める場合には、数多くのものを定めることもあるため、個人的には「様式」という表記をしたいと感じている。
そこで、参考までに省令(府令)では、どのようにしているかを次回に見てみることにしたい。

*1:ちょっと古いのだか、平成18年9月29日現在のデータによった。