様式の表示(2)

近年制定された省令(府令)における様式の表示については、次のようなものがあった*1

1 「様式第1」「様式第2」……
<例>電気事業託送供給等収支計算規則(平成18年経済産業省令第2号)、景観法施行規則(平成16年国土交通省令第100号)(ただし、本則の引用は「別記様式第1」「別記様式第2」……)、動物の愛護及び管理に関する法律施行規則(平成18年環境省令第1号)
2 「様式第1号」「様式第2号」……
<例>地方債に関する省令(平成18年総務省令第54号)(ただし、本則の引用は「別記様式第1号」「別記様式第2号」……)、厚生労働省関係石綿による健康被害の救済に関する法律施行規則(平成18年厚生労働省令第39号)
3 「第1号様式」「第2号様式」……
<例>内航海運業報告規則(平成17年国土交通省令第2号)
4 「別記第1号」「別記第2号」……
<例>不動産登記規則(平成17年法務省令第18号)(ただし、本則の引用は「別記第1号様式」「別記第2号様式」……)
5 「別記様式第1」「別記様式第2」……
<例>総務省関係研究交流促進法施行規則(平成18年総務省令第65号)
6 「別記様式第1号」「別記様式第2号」……
<例>大学の設置等の許可の申請及び届出に係る手続等に関する規則(平成18年文部科学省令第12号)
7 「別紙様式第1号」「別紙様式第2号」……
<例>会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律の特例旧特定目的会社に関する内閣府令(平成18年内閣府令第46号)
8 「別紙第1号書式」「別紙第2号書式」……
<例>電子情報処理組織を使用して処理する場合における保管金取扱規程等の特例に関する省令(平成17年財務省令第5号)
9 「別表第1号」「別表第2号」……
<例>障害者自立支援法施行規則(平成18年厚生労働省令第19号)

省庁ごとにパターンがあるかと思ったのだが、上記によると必ずしもそうとは言えないようである(ただ、旧省庁単位で見ると何か傾向があるのかもしれない)。
私は、別表の表記とできる限り整合をとった方がいいと思うので、5がいいのではないかと感じている。しかし、このようにいろいろなパターンがあるわけだから、あえて前例を変える必要はないのであろう。ただ、「別紙○○」という例があるが、これは正直どうだろうという感じがする。公布を掲示板の掲示による場合に、様式は本則と別の紙になっていれば「別紙」だと言えないこともないだろうが、あくまでも同じ規則の一部であることを考えると、どうもしっくりとこない。
ところで、様式の典型的な例としては申請書等の書式が挙げられるが、掲示する標識の体裁のようなものも様式として定めることもあるであろう。石毛正純『自治立法実務のための法制執務詳解(四訂版)』(P70)では、「標章や制服を定めるような場合には、……別図として規定される」とされている。別図というグループを設けると、標識のようなものも別図ということになるのであろうが、その使用頻度を考えると、あえて「別図」というグループを設けることがどうなのかなという感じがする。なお、この場合に同書は「法令の中には、別記様式又は別表として規定している例もある」としている。私の感覚だと様式である。

*1:総務省・法令データ提供システム(平成18年9月29日現在のデータ)による。