題名に自治体名を付すべきか

法制執務に関する研修会の講師を務めたときに、「私は○○市の職員ですが、条例の題名は、『○○市××条例』のように自治体の名前を入れた方がいいのでしょうか。」という質問を受けたことがあった。
条例等の題名に自治体名を付すべきかどうかについては、これを肯定する人も否定する人もいたかと思う。
肯定する人は、「題名に自治体名を付さないと、例えば、法施行条例などは同じ題名の条例が幾つもできることになるから、付すべき。」といったようなことを言い、否定する人は、「条例は条例番号で特定されるのだから、同じ題名の条例があっても問題ない。」といったようなことを言っていたかと思う。
上記の質問を受けた時は、肯定説の方がいいと思っていたので、その向きの答えをしたのだが、今は、否定説の方がいいと思っている。ただ、その理由は、上記の否定する人のものとはちょっと違う。
条例の効力については、原則として属地主義が妥当するわけだから、例えば「××条例」というものが全国に幾つあろうとも、○○市にいる人にとって「××条例」といえば○○市のそれに当然なるわけだから、あえて条例等の題名に自治体名を付さなくてもいいのではないかというのが、理由である。(もちろん、政策的に自治体名を付すことに反対するものではないけれど。)
この議論は、全国にあまたある例規を客観的な視点から見た上でなされていたような印象を受けたが、例規は住民などを対象にしていることを考えると、視点を住民の方に変えてみると、また違った見方ができるように感じたのだが、どうだろう。