制裁として用いる公表に関するメモ(8)

6 対象者があらかじめ行うことが期待できない事項に関して勧告・公表を行うこととしているもの
 ○ 特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律に基づく公表制度
<根拠規定>

(緊急時の措置)
第9条 国家公安委員会は、特定の建物錠の特性を利用した特殊開錠を行う手口による建物への侵入が急増するおそれがあると認める場合において、当該侵入の防止を図るため緊急の必要があると認めるときは、必要な限度において、当該建物錠の製造又は輸入を業とする者に対し、当該建物錠の改善その他の当該手口による建物への侵入の防止を図るために必要な措置をとるべき旨の勧告をすることができる。
2 国家公安委員会は、前項に規定する勧告をした場合において、当該勧告を受けた者が、正当な理由なく、その勧告に従わなかったときは、その旨を公表することができる。

(参考)防犯性能に関する表示に関しては、第8条で勧告・命令を行うことができることとし、命令違反には罰則も科している(第17条、第19条)
<国会答弁>

9条の勧告は、その事業者が予測できないような新たな侵入手口が出現した場合に発せられるというものであります。事業者が知り得ないような新たな手口によっても開錠できない錠を製造、輸入することを事業者にあらかじめ期待するというのはこれは不可能でありまして、事業者が防犯性能の向上のための努力を十分に行っていたとしても勧告を受けることがあり得るということを考慮いたしますと、勧告に従わない事業者に命令を発し、これに従わない場合には罰則は過大であろうということで、その旨を公表することとしているということでございます。(平成15年5月27日第156回国会参議院内閣委員会、瀬川警察庁生活安全局長答弁)

7 情報提供義務に関する制裁として公表を行うこととしているもの
 ○ 特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律に基づく公表制度
<根拠規定>

(勧告及び公表)
第15条 通商産業大臣は、前条第1項の規定に違反する指定化学物質等取扱事業者があるときは、当該指定化学物質等取扱事業者に対し、同項の規定に従って必要な情報を提供すべきことを勧告することができる。
2 通商産業大臣は、前項の規定による勧告を受けた指定化学物質等取扱事業者がその勧告に従わなかったときは、その旨を公表することができる。

<国会答弁>

現在、手元に諸外国のMSDSの制度の罰則まで持参しておりませんで大変申しわけございませんけれども、通常こういった資料添付あるいは情報提供義務に際しまして用いられますある種のペナルティーと申しましょうか、こういったものでは、まず勧告を行い、そしてその勧告に従っていただけない場合に業者の方の名前を公表させていただくというようなことで、おおむね担保されているように理解しております。(平成11年7月6日第145回国会参議院国土・環境委員会、河野通商産業省基礎産業局長答弁)