例規集の改廃に伴う例規の整理とは

少し前のことだが、次のような例規を見かけた。

○○市例規集の改版に伴う条例の整理に関する条例
(目的)
第1条 この条例は、○○市例規集の改版に伴い、現に効力を有する本市の条例(以下「条例」という。)について、当該条例の内容及び効力等に変更を生じない限度において、用字、用語及び送り仮名等を統一した表現にするため、必要な措置について定めることを目的とする。
(用字、用語及び送り仮名)
第2条 条例中に用いている用字、用語及び送り仮名の付け方については、次に掲げる基準により改める。
(1) 法令用語改善の実施要領(昭和29年11月25日法制局総発第89号)
(2) 法令における漢字使用等について(昭和56年10月1日内閣法制局総発第141号)
(3) 法令用語改正要領の一部改正について(昭和56年10月1日内閣法制局総発第142号)
(4) 法令における拗音及び促音に用いる「や・ゆ・よ・つ」の表記について(昭和63年7月20日内閣法制局総発第125号)
(句読点)
第3条 条例中に用いている句読点については、国の法令の例により改める。
(語句の整合)
第4条 条例中に用いている語句の表現については、関連している国の法令及び他の条例の表現と整合するように改める。
(その他)
第5条 前3条に規定するもののほか、条例の整理について特に必要なものについては、国の法令の例により改める。
附 則
この条例は、公布の日から施行する。

例規集の改廃 条例」で検索すると幾つかヒットしたので、自治体が主体的に考えたというよりも、例規集の編纂を委託している業者からの提案によるものなのかもしれない。
この発想自体は、おもしろい一面もあるし、否定しようとは思わない。縦書きの例規を横書きにする場合には、数字の表記の仕方などを改めることになるが、発想は似たようなものだとも感じる。
しかし、気になる点は、幾つかある。
まず、「例規集の改版に伴う条例の整理」として、例規集の改廃が条例の整理の理由となっているが、例規集の改廃が客観的に重要な事実であればともかく、これを理由とするのはどうかと思う。
内容については、第2条に規定されている事項のうち、送り仮名を改めるのであれば「送り仮名については、昭和48年内閣告示第2号(送り仮名の付け方)に定めるところによる」とし、拗音・促音を小書きにするのであれば「拗音及び促音については、小書きとする」とすればよさそうだが、あとは無理があるのではないだろうか。基本的には、法令の書き方と合わせようとするものだが、法令でも所管省庁によって結構書き方は異なっているので、これだけでは、基準にはなり得ないと思う。
この条例が制定された後に、個々の条例の表記をどのようにするかは、ほとんど業者に任せるのであろう。例規(の書き方)に対する関心の薄さの一例ではないだろうか。