就学支援金の額の決定

子ども手当法案と並んで話題の「公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律案」の中で、私立高校の生徒等に支給される就学支援金に関する部分で気になったことがありましたので触れることにします。
就学支援金については、次のとおり同法案の第3章で定められている。

第3章 高等学校等就学支援金の支給 
(受給資格)
第4条 高等学校等就学支援金(以下「就学支援金」という。)は、私立高等学校等に在学する生徒又は学生で日本国内に住所を有する者に対し、当該私立高等学校等(その者が同時に二以上の私立高等学校等の課程に在学するときは、これらのうちいずれか一の私立高等学校等の課程)における就学について支給する。
2 就学支援金は、前項に規定する者が次の各号のいずれかに該当するときは、支給しない。 
(1) 高等学校等(修業年限が3年未満のものを除く。)を卒業し又は修了した者 
(2) 前号に掲げる者のほか、私立高等学校等に在学した期間が通算して36月を超える者
3 (略) 
(受給資格の認定)
第5条 前条第1項に規定する者(同条第2項各号のいずれかに該当する者を除く。)は、就学支援金の支給を受けようとするときは、文部科学省令で定めるところにより、その在学する私立高等学校等(その者が同時に二以上の私立高等学校等の課程に在学するときは、その選択した一の私立高等学校等の課程)の設置者を通じて、当該私立高等学校等の所在地の都道府県知事(当該私立高等学校等が地方公共団体の設置するものである場合(当該私立高等学校等が特定教育施設である場合を除く。)にあっては、都道府県教育委員会)に対し、当該私立高等学校等における就学について就学支援金の支給を受ける資格を有することについての認定を申請し、その認定を受けなければならない。 
(就学支援金の額)
第6条 就学支援金は、前条の認定を受けた者(以下「受給権者」という。)がその初日において当該認定に係る私立高等学校等(以下「支給対象高等学校等」という。)に在学する月について、月を単位として支給されるものとし、その額は、1月につき、支給対象高等学校等の授業料の月額(授業料の額が年額その他月額以外の方法により定められている場合にあっては、授業料の月額に相当するものとして文部科学省令で定めるところにより算定した額をいい、受給権者が授業料の減免を受けた場合にあっては、文部科学省令で定めるところにより当該授業料の月額から当該減免に係る額を控除した額をいう。)に相当する額(その額が支給対象高等学校等の設置者、種類及び課程の区分に応じて政令で定める額(以下この項において「支給限度額」という。)を超える場合にあっては、支給限度額)とする。
2 支給対象高等学校等が政令で定める私立高等学校等である受給権者であって、その保護者(学校教育法第16条に規定する保護者をいう。)その他の受給権者の就学に要する経費を負担すべき者として政令で定める者(以下この項及び第17条第1項において「保護者等」という。)の収入の状況に照らして特に当該保護者等の経済的負担を軽減する必要があるものとして政令で定めるものに対して支給される就学支援金に係る前項の規定の適用については、同項中「定める額」とあるのは、「定める額に政令で定める額を加えた額」とする。
3 第1項の支給限度額は、公立高等学校基礎授業料月額その他の事情を勘案して定めるものとする。 
(就学支援金の支給)
第7条 都道府県知事(支給対象高等学校等が地方公共団体の設置するものである場合(支給対象高等学校等が特定教育施設である場合を除く。)にあっては、都道府県教育委員会。以下同じ。)は、受給権者に対し、就学支援金を支給する。
2 就学支援金の支給は、受給権者が第5条の認定の申請をした日(当該申請が支給対象高等学校等の設置者に到達した日(次項において「申請日」という。)をいう。)の属する月(受給権者がその月の初日において当該支給対象高等学校等に在学していないとき、受給権者がその月について当該支給対象高等学校等以外の私立高等学校等を支給対象高等学校等とする就学支援金の支給を受けることができるときその他政令で定めるときは、その翌月)から始め、当該就学支援金を支給すべき事由が消滅した日の属する月で終わる。
3 受給権者がやむを得ない理由により第5条の認定の申請をすることができなかった場合において、やむを得ない理由がやんだ後15日以内にその申請をしたとき(当該申請が支給対象高等学校等の設置者に到達したときをいう。)は、やむを得ない理由により当該認定の申請をすることができなくなった日を申請日とみなして、前項の規定を適用する。4 前3項に定めるもののほか、就学支援金の支払の時期その他就学支援金の支給に関し必要な事項は、文部科学省令で定める。 
(代理受領等)
第8条 支給対象高等学校等の設置者は、受給権者に代わって就学支援金を受領し、その有する当該受給権者の授業料に係る債権の弁済に充てるものとする。 
(就学支援金の支給の停止等)
第9条 就学支援金は、受給権者が支給対象高等学校等を休学した場合その他の政令で定める場合において、受給権者が、文部科学省令で定めるところにより、支給対象高等学校等の設置者を通じて、都道府県知事に申し出たときは、政令で定めるところにより、その支給を停止する。
2 (略) 
(支払の調整)
第10条 就学支援金を支給すべきでないにもかかわらず、就学支援金の支給としての支払が行われたときは、その支払は、その後に支払うべき就学支援金の内払とみなすことができる。就学支援金として支給すべき額を超える額の就学支援金の支給としての支払が行われた場合における当該超過額の支払についても、同様とする。 
(不正利得の徴収)
第11条 (略) 
(受給権の保護)
第12条 (略) 
(公課の禁止)
第13条 (略) 
(国等の設置する私立高等学校等に係る就学支援金に関する特例)
第14条 (略) 
交付金
第15条 (略)

就学支援金の額は、基本的にはその学校の授業料の額が基準になるのだが、限度額があり、低所得世帯の場合には、その限度額に一定の額が上乗せされる。この限度額については、第6条第1項及び第2項で政令に委任されているが、文部科学省における「公立高校の授業料無償化及び高等学校等就学支援金説明会」の資料によると、通常の生徒は年額118,800円であり、低所得世帯の生徒については、年収250万円未満程度の場合には237,600円、年収250万円〜350万円未満程度の場合には178,200円とされている。
ただし、この低所得世帯であることにより限度額が上乗せされる場合の決定の手続は、法案では明確になっていない。一般的に、給付金的なものを支給する場合の認定は、支給対象であるかどうかとその額について行うものなのではないかと思っていたが、就学支援金については、法案上は、支給対象であるかどうかの認定だけのようである(第5条)。そして、低所得者世帯については、毎年、所得証明書類を提出させ、要件審査を行うようであるが、所得証明書類を提出させることについては、法律上の根拠はよく分からない。それらしいのは、第7条第4項であり、この規定に基づいて省令で定める予定なのかもしれない。給付金に関わる事項なので、これでもよいのかもしれないが、やや気になるスキームである。