ある自治体の条例における認証の仕組み(中)

法律において認証を規定している例は、宗教法人法第2章の規定があるが、同章は、まず認証を受ける旨の規定(第12条)を置いている。一般的には、そのように認証の規定をまず書くようにした方が分かりやすいだろう。
それでは、当該条例についてそのような構成にした規定例を、次に掲げる。

(ふれあい安心名簿の作成)
第6条 地域団体において災害時その他緊急時の連絡のための名簿*1を作成する者は、その名簿について市長の認証を受けることができる。
2 前項の認証を受けた名簿は、ふれあい安心名簿と称する。
3 第1項の認証を受けようとする者は、規則で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書を市長に提出しなければならない。 
(1) 地域団体の名称及び住所並びにその代表者の氏名及び住所
(2) 名簿の利用目的、名簿に登載する情報の内容及び名簿の配布先
(3) 名簿を管理する者(以下「名簿管理者」という。)の氏名及び住所 
(4) その他規則で定める事項
4 前項の申請書には、次に掲げる書類を添付しなければならない。 
(1) 当該名簿
(2) 第8条各号に掲げる事項を遵守するため、名簿の作成(及び利用)をする際の基準を定めた規約 
(ふれあい安心名簿の認証)
第7条 市長は、前条第1項の認証の申請が次の各号のいずれにも適合していると認めるときは、その認証をするものとする。
(1) 名簿に登載されている情報が、次条各号に掲げる事項を遵守して収集されたものであること。
(2) 名簿管理者について、次に掲げる要件に該当するものであること。 
ア 名簿管理者が名簿に登載されている者の中から選任されていること。
イ 名簿管理者の氏名その他規則で定める事項が名簿に記載されていること。
ウ 名簿管理者が第9条に定める事務を行っていること。
2 市長は、前項の認証をしたときは、その認証をした者に認証記号を交付するとともに、規則で定めるところにより、認証記号交付簿に規則で定める事項を記録するものとする。 
(名簿に登載する情報の収集の際に遵守すべき事項)
第8条 第6条第1項の規定により名簿について認証を受けようとする場合における当該名簿を作成しようとする者が、当該名簿に登載する情報を収集するに当たって遵守しなければならない事項は、次に掲げるとおりとする。 
(1) 名簿に登載する情報は、当該情報に係る者の同意を得て収集しなければならないこと。
(2) 名簿に登載する者に、当該名簿の利用目的、当該名簿に登載する情報の内容及び当該名簿の配布先を知らせること。 
(3) 作成しようとする名簿の利用目的に必要な情報以外の情報を収集しないこと。 
(名簿管理者)
第9条 名簿管理者は、当該名簿の登載者から当該名簿に登載する情報の取扱いに関する問い合わせ等があったときは、当該登載者に対し必要な助言等を行うものとする。

ところで、条例においては認証というスキームを用いているため、その性格上、市長の認証は名簿を作成した後に受けるものとせざるを得ない。
しかし、名簿に登載される者からすると、名簿作成者から自己の情報の提供を求められた際に、既に市長の判断が介在していた方が安心できるのではないだろうか。
そうすると、認証というスキームではなく、名簿の作成前に市長の確認(認定)を受けることができることとし、作成後に届出なりをさせて、適切な作成がなされているかを再度確認するようなスキームとすることも考えられるのではないだろうか。

*1:条例第1条で「地域団体の活動の活性化及び災害その他緊急時の連絡において有用な名簿」といった表現がある。