ある自治体の条例における認証の仕組み(下)

条例第3条には、次のような規定がある。

(適用範囲)
第3条 この条例の規定は、認証記号を付そうとするふれあい安心名簿を作成し、及び利用する場合について適用し、認証記号を付さない名簿の作成及び利用については、適用しない。

この規定により、条例は市の認証を受けようとしない名簿であっても団体の独自の方法で作成・利用することを許容しているとしている。しかし、それが、分かりにくいという意見があるとのことである。
前回(「ある自治体の条例における認証の仕組み(中)」)のような書き方をすれば、この第3条の規定がなくてもそれ程分かりにくいということはないだろうし、確認的に書くとしても、条例の後の方で雑則として規定すれば十分であろう。
しかし、「ある自治体の条例における認証の仕組み(上)」で記載したように、認証を得ないにしても、できる限り条例に定める手続を参考にして名簿を作成して欲しいという意図があれば、条例のようにできる限り時系列で書きたいと思うことについても理解できるところである。
その場合には、次のように書いた方がよいのではないか。

(この条例の適用関係)
第○条 地域団体において災害時その他緊急時の連絡のための名簿を作成する者は、第○条から第○条までに定めるところにより当該名簿を作成し、市長の認証を受けることができる。
2 前項の規定は、同項に規定する者が、第○条から第○条までの定めるところによらずに当該名簿を作成することを妨げない。

そして、この規定は、できる限り条例第6条の直前(第5条)に置いた方がよい。
ところで、条例第4条は、市の作成名簿に関する規定、条例第5条は、市長の責務に関する規定となっている。市の作成名簿に関する規定は、雑則としてもよいだろうし、市の責務に関する規定は、第2条の定義規定の直後に置いても違和感はない。
そうすると、上記の条例の適用関係の規定は第4条とし、条例第6条以下は1条ずつ繰り上げればよいことになる。