自治体の長の任期

自治体の長の任期は、4年とされている(地方自治法第140条第1項)。この任期を捉えて、「1期勤めた」とか、「今は2期目だ」とか言われることがある。
この「1期」は、長の退任事由によっては、いつも4年になるわけではない。以前、その退任事由はどのようなものがあって、その事由ごとに1期の終了する日を整理したことがあったので、それをここに記しておくことにする。
1 任期満了(地方自治法第140条)
言うまでもなく、その起算日(公職選挙法第259条)から4年を経過した任期満了の日が1期の終了した日になる。
2 失職
長が失職する事由としては、リコール(地方自治法第83条)、兼業禁止違反等(地方自治法第143条)、不信任(地方自治法第178条第2項)及び当選の効力に関する裁判の確定等(地方自治法第144条)を挙げることができる。
失職した日は、当然任期満了前の日になるが、この失職した日が1期の終了した日となり、この場合は、1期の年数は4年以内となる。
3 辞職(地方自治法第145条)
長が辞職した場合は、基本的には2と同様になるが、ここでは、辞職後、引き続き選挙に立候補し、当選した場合を念頭に置くことにする。
この場合には、公職選挙法に任期の特例があり、辞職を理由とした選挙が行われるか否かによって異なってくる。
 (1) 辞職を理由とした選挙が行われる場合
長が辞職し、その直後の選挙で当選した場合は、その者の任期は、辞職前の任期の起算点から4年とされるため(公職選挙法第259条の2)、辞職の日は1期の終了の日とはならず、その後の任期満了等による在職期間の終了の日と考えることになる。
つまり、この場合は、(1)在職開始→(2)辞職→(3)選挙→(4)任期満了 となり、在職開始から任期満了までは4年間である、これが1期ということになる。
 (2) 辞職を理由とした選挙が行われない場合
長が任期満了による選挙の告示がなされた後に辞職した場合は、辞職を理由とした選挙は行われないが(公職選挙法第33条第4項)、この場合は、辞職した日が1期の終了した日となる。
つまり、この場合は、(1)在職開始→(2)選挙告示→(3)辞職→(4)選挙となり、在職開始の日から選挙の日までが概ね4年となるが、その前の辞職の日までが1期となる。したがって、この場合は、1期の年数は4年以内となる。
4 その他
長の退任事由は、その他に死亡、失踪等が考えられるが、この場合は、特に触れるまでもないであろう。
以上であり、列記してしまえばこの程度のものであるが、3は、自治体の長の任期としてはおもしろい場合だろう。