解釈

湾岸戦争時における自衛隊の海外派遣の法的根拠

平成2年、イラクがクウェートに侵攻した湾岸戦争の際に、次の事項に対処することついて法的根拠をどこに求めるか問題となった。 避難民のヨルダンへの本国輸送に自衛隊輸送機による輸送を行うこと。 湾岸戦争が停戦した後、ペルシャ湾に敷設された機雷の掃…

選挙管理委員会の啓発等

選管職員、過労運転で死亡事故か 衆院選前の1カ月間休日ゼロ 川西市役所を捜索 兵庫県警衆院選の投開票日前日の21日に兵庫県川西市の選挙管理委員会に所属する職員の男(51)が勤務中に起こした死亡事故に絡み、兵庫県警川西署が自動車運転処罰法違反(過失…

債務負担行為と会計年度

kei-zuさん掲載の記事から Q 複数年度にわたる契約に係る増額変更に際し、当初に設定の債務負担行為の上限額の範囲内であれば、新たな債務負担行為の設定は不要ではないか?※当初契約時に「8%消費税」で複数年度の契約を行い、税率改定時に「10%消費税」…

学校給食費の徴収

自治体が徴収…教員の負担軽減狙い 文科省方針文部科学省は現在、全国の4分の3の市区町村で学校がしている給食費の徴収業務を自治体が直接するよう求める方針を決めた。未納の保護者への督促や多額の現金を扱うことが教職員の心理的負担と長時間勤務の一因…

公党の代表の二重国籍問題

蓮舫代表の戸籍公表宣言で民進党分裂のカウントダウンが始まった!? 有田芳生氏vs原口一博氏…あの山口二郎法政大教授も参戦民進党の蓮舫代表が台湾籍と日本国籍の「二重国籍」問題をめぐり、日本国籍の選択宣言をした証明として戸籍謄本を公開する意向を…

ふるさと納税に係る返礼品

ふるさと納税に係る返礼品送付の競争が過熱していることに対する指摘等を受け、総務省は、平成28年4月1日付けで総務大臣通知(以下「平成28年通知」という。)を発出しているが、重ねて、平成29年4月1日付け総税市第28号により「ふるさと納税に係る返礼…

憲法改正に関する首相発言について

首相「9条に自衛隊明記」 改憲2020年施行目標に安倍晋三首相(自民党総裁)は憲法記念日の3日、憲法改正を求める集会にビデオメッセージを寄せ、「2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」と明言した。改憲項目として、戦争の放棄を定めた9条に自衛隊…

防災ヘリコプターの運行業務の有料化

登山者ヘリ救助、埼玉県が有料化 全国初、条例成立埼玉県内の山で遭難した登山者を県の防災ヘリコプターで救助した場合、遭難者から手数料として約5万円を徴収する条例改正案が27日、県議会で成立した。自治体の防災ヘリによる山岳救助が有料化されるのは全…

天皇陛下の生前退位(その3)

(インタビュー)退位のルール 元最高裁判事、東北大学名誉教授・藤田宙靖さん(略)「憲法は『皇位は(略)国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する』と定めています。退位を認めるには典範改正が必要だという主張がありますが、私は特…

自転車は歩道の右側を通行することができるか

自転車による交通事故が多発したことを受け、2015年6月1日に改正道路交通法が施行されるなど、法的な手当てもなされているが、自転車が歩道を通行する場合、右側を通行することができるだろうか。道路交通法の関係規定は、次のとおりである。 (通行区分)…

条例による公表制度と行政代執行法第1条との関係

条例で制裁としての公表制度を規定することがあるが、行政代執行法第1条で「行政上の義務の履行確保に関しては、別に法律で定めるものを除いては、この法律の定めるところによる」とされていることから、当該公表制度が適法か一応問題となるが、一般的には…

地方事務所の所掌事務が設置条例の規定事項とされていない理由

自治体が事務を分掌するため行政機関を設置する場合には、条例を制定する必要があるが(地方自治法第155条第1項、第156条第1項)、当該条例で定める事項は、位置、名称及び所管区域であり(地方自治法第155条第2項、第156条第2項)、所掌事務は、当該事…

天皇陛下の生前退位

washitaさん経由 天皇生前退位 制度化は「憲法改正が必要」天皇陛下の生前退位をめぐり、内閣法制局などが、将来にわたって生前退位を可能にするためには、「憲法改正が必要」と指摘していることが新たに分かった。天皇陛下のお言葉について安倍首相は「重く…

憲法第9条第2項

現在国会で議論されている、いわゆる安保法案については、憲法第9条に反し、違憲ではないかとの意見が多いところであるが、同条第2項を、その文理から自衛のための戦力は保持が認められると解釈する者もいるので、それを取り上げることとする。 憲法第9条…

答弁の補佐で処分?

「官僚、必ず処分する」民主・小西氏、声荒らげ民主党の小西洋之参院議員は9日の参院外交防衛委員会で、集団的自衛権の憲法解釈を巡る質疑の際、中谷防衛相の答弁を巡り、秘書官が防衛相に耳打ちしたと指摘したうえで、「国会議員が真剣勝負で議論している…

防災ヘリコプターの運行費用を利用者に求めることの可否(その4)

前回取り上げたサイトで取り上げられている全国山岳遭難対策協議会における消防庁防災情報室課長補佐の発言の中で、次の事項も防災ヘリコプターにおける有料化の問題として挙げられている。 ○ 消防組織法上の問題8条で消防の費用は市町村が負担、つまり無料…

防災ヘリコプターの運行費用を利用者に求めることの可否(その3)

以前取り上げたテーマ(2010年10月15日付け記事「防災ヘリコプターの運行費用を利用者に求めることの可否」、2010年12月24日付け記事「防災ヘリコプターの運行費用を利用者に求めることの可否(その2)」)に関し、washitaさん経由で、岐阜県山岳連盟会長の…

自治体組織の多様化の可能性

自治体の組織については、憲法第93条第1項が「地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置する。」と規定し、同条第2項が「地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、…

自治体の組織と条例(下)

今回は、自治体の組織の条例設置に関し幾つか出されている土木事務所等の行政実例を取り上げる。 以前(2007年5月5日付け記事「自治体の組織(5)〜各執行機関(特に長)の組織・?出先機関(その2)」)、行政実例では条例設置を要しないこととされてい…

自治体の組織と条例(上)

先に「いわゆる私的諮問機関に関する判例について」という記事(2013年7月20日付け、7月27日付け、8月3日付け、8月10日付け及び8月17日付け記事)で、要綱等で設置されたいわゆる私的諮問機関が条例で設置しなければならない附属機関に当たるとされた…

「することができる」は「しなければならない」なのか

最近、「『取り消すことができる』と書かれている規定について『取り消さなければならない』という運用をしていると言われたが、そんなことがあるのか」と聞かれた。 一般的には、「取り消すことができる」とされていれば行政庁に効果裁量を認めた規定であり…

地方税法は組織法か

次の論述は、早稲田大学の大浜啓吉教授が神奈川県臨時特例企業税通知処分取消等請求事件訴訟で県側の意見書として提出されたものの一部である。 ……地方税法は法律ではあるが、もともと地方公共団体の事務処理に必要な財源を得るのが本来の目的であるから、地…

税法の遡及適用〜最高裁判決

以前、平成16年の租税特別措置法の一部改正において、土地、建物の譲渡損失の他の所得との通算及び翌年以降への繰越しを年度当初に遡って認めないこととしたことについて、下級審では異なる判断がなされたことについて取り上げたが(2008年2月15日付け記事…

電子メールでの文書の受領

電子メールでの文書のやり取りが一般的になっているが、法令に根拠のある文書について、電子メールでの受領を要求される例もあるようである。この要求は、認めるべきだろうか。結論は、一般的には認めるべきではないことになる。 法令は、一般的には書面で行…

行政委員会における持ち回り決議の可否

行政委員会の決議を持ち回りで行うことができるだろうか。 国家公安委員会について、次のような国会における内閣法制局の答弁がある。 <第147回国会衆議院決算行政監視委員会(平成12年3月13日)>○保坂展人委員 ……今、警察法の話も出ていましたけれども、…

審議会の会長は委員としての議決権を有するか

審議会について、会長は委員のうちから選任する旨の規定を置いた上で、「審査会の議事は、出席した委員の過半数をもって決し、可否同数のときは、会長の決するところによる」と規定した場合、会長は委員としての議決権を有することになるのだろうか。 法制意…

自治体職員の政治的行為に罰則を科すこと

2012年7月27日、大阪市において、職員の政治的行為を制限する条例が成立した。これに関しては、以前次のような報道がなされていた。 橋下市長:政治活動の職員、懲戒免職に大阪市の橋下徹市長は20日、市職員の政治活動を勤務時間内外を問わず規制強化する条…

自治体の長の任期

自治体の長の任期は、4年とされている(地方自治法第140条第1項)。この任期を捉えて、「1期勤めた」とか、「今は2期目だ」とか言われることがある。 この「1期」は、長の退任事由によっては、いつも4年になるわけではない。以前、その退任事由はどの…

庁舎に自動販売機を置くことは、行政財産の目的外使用か

以前『自治体法務NAVI』の「自治体法務Q&A」に行政財産の目的外使用についての記事が幾つか掲載されているが、これが分かりにくい。 市役所の庁舎内や公の施設に自動販売機を置く場合、行政財産の目的外使用によるのが通常ではないかと思うのだが、同Vol.…

「国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律」と地方公務員の給与(下)

今回はこのシリーズの最後として、法附則第12条の立法者の意思がどのようなものか、国会における審議のうち、提案者の見解を見ていくことにする。