例規の立案で間違いやすい例(13)

今回取り上げる事例は、間違いやすいというレベルを超越している例である。

雇用保険法施行規則等の一部を改正する省令(平成23年厚生労働省令第48号)
雇用保険法施行規則の一部改正)
第1条 雇用保険法施行規則(昭和50年労働省令第3号)の一部を次のように改正する。
   (略)
第125条第2項第2号ハ(2)を削り、同ハ(3)中……同(3)を同ハ(2)に改め、同ハ(4)を次のように改める。
(3) (略)
第125条第2項第2号ヘを削り、同号ホ中……に改め、同号ホを同号ヘとし、同号ニ柱書中「前号ロ」を「前号ハ」に改め、同号ニを同号ホとし、同号ホを次のように改める。
ホ 前号ハに該当する事業主 次に掲げる額の合計額
 (1)・(2) (略)
第125条第2項第2号ハの次に次のニを加える。
ニ (略)

「同(3)を同ハ(2)に改め」としている部分はケアレスミスとして、まず問題なのは、「同ハ(4)を次のように改める」として、第125条第2項第2号ハ(3)を書いている部分である。これは、以前(2010年6月11日付け記事「現在では用いられない改正方法(3)」)取り上げたことがあるが、かつては法律でもこのような改正方法をとっていたこともあったが、今は行われない。
次に、第125条第2項第2号二の柱書の語句を改め、同ニを同ホにしてから、これを全改している部分である。「柱書」という形での特定は行っていないことはさておき、その改正をした後に移動して、さらに全改しているが、なぜこのようなことをしたのか理解できない。
いずれにしろ、この事例は、次のようにすべきであろう。

雇用保険法施行規則等の一部を改正する省令(平成23年厚生労働省令第48号)
雇用保険法施行規則の一部改正)
第1条 雇用保険法施行規則(昭和50年労働省令第3号)の一部を次のように改正する。
   (略)
第125条第2項第2号ハ(2)を削り、同ハ(3)中*1……同(3)を同ハ(2)とし、その次に次のように加える。
(3) (略)
第125条第2項第2号ハ(4)を削り、同号ヘを削り、同号ホ中……に改め、同号ホを同号ヘとし、同号ニを次のように改める。
ニ (略)
第125条第2項第2号ニの次に次のように加える。
ホ 前号ハに該当する事業主 次に掲げる額の合計額
 (1)・(2) (略)

(参考) 「例規で間違いやすい例」の記事一覧

*1:現在の法律の改正方法だと、「同ハ」とせずに、「同号ハ」と号まで戻るのが一般的だと思うが、ローカルルールとしてはありだろう。