自治体職員の政治的行為に罰則を科すこと

2012年7月27日、大阪市において、職員の政治的行為を制限する条例が成立した。これに関しては、以前次のような報道がなされていた。

橋下市長:政治活動の職員、懲戒免職に
大阪市橋下徹市長は20日、市職員の政治活動を勤務時間内外を問わず規制強化する条例案について、条例で禁じた政治活動をした職員を原則、懲戒免職とする規定を盛り込む方針を決めた。橋下市長は当初、懲役2年以下などの罰則を検討していたが、政府が「違法」との見解を示したため、見直しを表明していた。総務省によると、自治体が政治活動を理由に職員を懲戒免職にした例はほとんどない。市が条例に基づいて免職にした場合、処分の妥当性が問題になる可能性もある。
この問題を巡っては、政府が19日、地方公務員の政治活動に対して、自治体の条例で罰則を盛り込むことを「地方公務員法に違反する」と閣議決定。同法が成立した際、「懲戒処分により(職員の地位から)排除すれば足りる」との理由で罰則規定を盛り込まなかった経緯を指摘していた。
これに対し、橋下市長は20日、「閣議決定が『地位から排除すれば足りる』というなら、忠実に従う。(政府は)バカですね。政治活動については原則、懲戒免職にして、ばんばん排除していく」と述べ、7月の臨時議会で「懲戒免職」規定を盛り込んだ条例案を提出する方針を示した。
毎日新聞2012年6月20日配信記事

上記の国の見解は、平井たくや衆議院議員質問主意書に対する回答であり、その内容は、次のとおりである。

地方公務員法(昭和25年法律第261号)第36条の地方公務員の政治的行為の制限については、同法制定時の提案理由説明において、「職員の政治的行為の制限の違反に対しては、懲戒処分により地方公務員たる地位から排除することをもって足る」との見地から罰則を付さないこととされている。また、政府提出の同法案においては、職員に政治的行為を行うよう唆した者等について罰則が付されていたところ、国会審議において罰則は付さないこととされたものである。かかる経緯を踏まえれば、同法は地方公務員の政治的行為の制限については罰則を付すべきでないとの趣旨であると解され、条例で罰則を設けることは、法律に違反し、許容されないと考えられる。

結論に異論はないのだが、既に60年も前の立法者意思のみを理由とするのは如何なものだろう。
私は、単純に法律違反の行為に条例で罰則を科すことはおかしいのではないかと考えている。