省令の全部改正

法律の全部改正は、題名の次に「……法(……)の全部を改正する。」といった制定文が付けられるが、それ以外は新規制定と異なる点はない。政令の場合も、全部改正を示す制定文が付される以外は新規制定と異なる点がないことは法律の場合と同じである。
しかし、省令の全部改正は、法律や政令とは違うようである。次のような例がある。

○ 文部科学省令・農林水産省令・経済産業省令・国土交通省令環境省令第2号
環境の保全のための意欲の増進及び環境教育の推進に関する法律の一部を改正する法律(平成23年法律第67号)の一部の施行に伴い、並びに環境教育等による環境保全の取組の促進に関する法律(平成15年法律第130号)の規定に基づき、及び同法を実施するため、人材認定等事業に係る登録に関する省令の全部を改正する省令を次のように定める。
  平成24年6月29日
    文部科学大臣 平野 博文
    農林水産大臣 郡司  彰
    経済産業大臣 枝野 幸男
    国土交通大臣 羽田雄一郎
      環境大臣 細野 豪志
人材認定等事業に係る登録に関する省令の全部を改正する省令
人材認定等事業に係る登録に関する省令(平成16年文部科学省令・農林水産省令・経済産業省令・国土交通省令環境省令第1号)の全部を次のように改正する。
環境教育等による環境保全の取組の促進に関する法律施行規則
(支援団体の指定の基準)
第1条 環境教育等による環境保全の取組の促進に関する法律(以下「法」という。)第10条の2第1項第1号の主務省令で定める基準のうち経理的基礎に係るものは、次に掲げるものとする。
(以下略)

省令の場合、冒頭の「……省令を次のように定める。」という文章は制定文とされているため(法制執務研究会『新訂ワークブック法制執務』(P22)参照)、題名の次にまた制定文を置くことができないので、やむを得ずに上記のような方法によっているのだろうか。