特定秘密保護法に関する報道から

次の記述は、特定秘密の保護に関する法律(以下「法」という。)に関し、ある地方紙に記載されたものである。

1985年に自民党から議員提出され、廃案になった国家秘密法(スパイ防止法)の対象は「防衛」と「外交」。秘密保護法では、これに「特定有害活動の防止」と「テロリズムの防止」が加えられ、警察―中でも左翼・右翼団体の事件やスパイ事件などを手掛ける公安警察が抱える情報も秘密指定の対象となった。
警察庁都道府県警察から秘密を提供されることもある。防衛省の防衛秘密(特定秘密に横滑り)のような秘密保全強化の手だてがなかった警察は、関係省庁の中で法案づくりに最も熱心だったという。それもあり注目されたのが、秘密保護法にあるテロの定義だ。
「政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを強要し、又は社会に不安若しくは恐怖を与える目的で人を殺傷し、又は重要な施設その他の物を破壊するための活動」。強要、殺傷、破壊は「又は」でつながり並列の関係だから、強要しただけでも―例えば、市民デモで「秘密保護法反対」と叫ぶだけでもテロとも読める。

上記のテロの定義は、法第12条第2項第1号でなされているが、これは、「国家若しくは他人にこれを強要する」目的か、「社会に不安若しくは恐怖を与える」目的のいずれかの目的で、「人を殺傷」するための活動、又は「重要な施設その他の物を破壊するための活動」ということになる。
上記の記事のように読むのであれば、「強要し、」の次の「又は」を「、」にすることになる。
上記の記事は、ためにする批判のような感じも受けるが、読みにくいことも事実である。テロの定義は条中定義であるため一文で書いているが、項を設けて定義するのであれば、目的か活動のいずれかを各号で書きたいところである。