猫等の殺処分をなくすことを目的とした条例の題名

最近、昨年(2016年)12月に猫等の殺処分をなくすことを目的とした条例が可決されていた記事を2件目にした。
1件目は、次の神戸市の事例である。

神戸市議会 野良猫不妊去勢を公費負担、初の条例可決
神戸市議会は5日、市や獣医師会、市民団体などが連携して野良猫の不妊去勢手術を実施し、殺処分をなくすことを目指す「人と猫との共生に関する条例」を全会一致で可決した。市によると、繁殖制限を主目的に手術費を全額公費負担する条例は全国で初めて。来年4月に施行される。
神戸市は、地域で野良猫を飼う活動を進める団体に手術費を助成して繁殖を抑制する取り組みを進めてきたが、自治会など住民組織の承認が条件で、理解を得られないケースもあったため、昨年度は673匹の猫を殺処分していた。課題を解決しようと、自民、公明、民進こうべの3会派が議員提案した。
条例では、獣医師会や保護団体などで構成する協議会が野良猫の汚物や悪臭などの苦情が多い区域を調査し選定。協議会が区域内の野良猫を手術し、費用を市が負担する仕組みとした。手術後は元の地域に猫を戻し、世話や飼い主探しにも取り組む。
殺処分を減らすため、各地でも条例づくりが進んでいる。和歌山県では今年3月に野良猫への餌やりを規制する都道府県初の条例が成立した。対象となる猫には避妊・去勢手術することを義務付ける内容で、今後施行される予定だ。京都市は野良猫に餌をやる基準を盛り込んだ条例を施行した。
神戸市の条例について、地域ぐるみで猫を飼う活動を進めるNPO法人「神戸猫ネット」(神戸市)の杉野千恵子理事長は「市民が個人で負担して進めてきたことを条例という良い形で取り上げてもらえた。行政が繁殖制限をして、地域が猫を適正に管理するという形で実効性のあるものにしたい」と話していた。
毎日新聞2016年12月5日配信

この条例の名称は「神戸市人と猫との共生に関する条例」であるが、その目的規定は次のようになっている。

(目的)
第1条 この条例は、野良猫の繁殖制限及び猫の譲渡の推進に関する施策等について必要な事項を定めることにより、市民の快適な生活環境を保持するとともに、猫の殺処分をなくし、もって人と猫が共生する社会の実現を図ることを目的とする。

この条例は、上記のとおり猫の譲渡の推進に関する施策とともに野良猫の繁殖制限の推進に関する施策について定めているのだが、この「野良猫の繁殖制限」は、条例第2条第3号で次のように定義されている。

野良猫により生活環境等に問題が生じている地域において,一定区域内の野良猫を対象に不妊去勢手術を施した上で,当該区域に戻すことをいう。

この条例が究極の目的としている人と猫との共生を達成する手段として重視しているのが「不妊去勢手術」であると言われると、どうしても違和感があるところである。
2件目は、次の茨城県の事例である。

茨城)減らせ!犬猫の殺処分 県議会が条例可決
県議会は最終日の22日、「県犬猫殺処分ゼロを目指す条例」案を全会一致で可決した。最大会派「いばらき自民党」が中心となり、他の主要会派と共同提案した。茨城県は犬の殺処分数が全国的にみても多い。罰則規定はないが、飼い主や自治体に殺処分をなくすよう促し、汚名の返上を狙う。年内に施行する見通し。
(以下略)
朝日新聞デジタル2016年12月23日配信

この条例の名称は、「茨城県犬猫殺処分ゼロを目指す条例」である。神戸市の題名よりはいいが、スローガンのような題名になっているのは気になるところである。
なお、上記の条例は、いずれも議員提出の条例である。