条を移動させる改正を行う場合の改め文の区切り方

条例等の一部改正をする場合には、原則として条ごとに区切って行うが、その例外の1つとして、単純に条の移動だけであれば連続して行うこととされている。しかし、個々のケースによっては、どこで区切るべきか迷うことがある。
例えば、第6条を削り、第7条から第10条までを1条ずつ繰り上げる場合で、第7条と第9条の語句を改める必要があるときを考えてみる。
法令でも、幾つかの例があり、極端なケースをあげると、次のようになるかと思う。

第6条を削り、第7条中「○○」を「××」に改め、同条を第6条とし、第8条を第7条とする。
第9条中「○○」を「××」に改め、同条を第8条とし、第10条を第9条とする。

第6条を削る。
第7条中「○○」を「××」に改め、同条を第6条とする。
第8条を第7条とする。
第9条中「○○」を「××」に改め、同条を第8条とする。
第10条を第9条とする。

私は、次のようにするのがいいのではないかと思う。

第6条を削る。
第7条中「○○」を「××」に改め、同条を第6条とし、第8条を第7条とする。
第9条中「○○」を「××」に改め、同条を第8条とし、第10条を第9条とする。

これは、条の移動という実質的な改正を伴わない場合は、原則としてその前後では区切らずに連続して行うということであるが、条を削る場合は、その条の内容をすべて削るという実質的な改正であると考えられるから、原則としてその改正のみで区切るわけである。
これによると、第8条から第10条までを1条ずつ繰り下げる場合で、第9条の語句を改める必要があるときには、

第10条を第11条とし、第9条中「○○」を「××」に改め、同条を第10条とし、第8条を第9条とする。

ということになるが、法令では、「第10条を第11条とする。」と区切っている例もある。条の移動の後に語句の改めをするのが座りが悪いということだろうか。
なお、感覚的にそう思うだけなのだが、最近、法令では2番目の一番区切って改正するケースが多いような感じがする。
まあ、結論としては、ルールを決めればいいということか。
<追記>2008.1.13
ここで記載している考え方は、前田正道『ワークブック法制執務(全訂)』(P319〜)とほぼ同じ考え方だと思うし、同様の記載は、法制執務研究会『新訂ワークブック法制執務』(P353〜)にも見られるところである。しかし、本文中にも記載しているように、このような方式で統一はされていないように思われる。