目的規定

前回、目的規定に関連したことについて触れたので、今回は、目的規定を書く際に気を付けていたことを2点程記す。
1点目は、目的達成の手段を書いている部分に、条例で定めている事項をすべて網羅させるということである。

この法律は、食品循環資源の再生利用並びに食品廃棄物等の発生の抑制及び減量に関し基本的な事項を定めるとともに、食品関連事業者による食品循環資源の再生利用を促進するための措置を講ずることにより、食品に係る資源の有効な利用の確保及び食品に係る廃棄物の排出の抑制を図るとともに、食品の製造等の事業の健全な発展を促進し、もって生活環境の保全及び国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

上記は、食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律の目的規定である。「食品循環資源の再生利用並びに食品廃棄物等の発生の抑制及び減量に関し基本的な事項を定めるとともに、食品関連事業者による食品循環資源の再生利用を促進するための措置を講ずること」が目的達成の手段を書いている部分だが、これがこの法律が定めている内容ということになる。つまり、この部分で条例が定めている内容を網羅している必要があるから、条例で何を書いたか見て(章の区分を設けたのであれば、章名も参考にしつつ)、漏れがないか確認していた。
条例で定めている内容のすべてを書ききれない場合も当然あるが、その際は、瑣末な事項は「等」でくくったりした(上記の例でいうと「事項等を定める」としたり、「措置等を講ずる」としたり、「講ずること等により」とするなど)。
2点目は、目的規定で用いている用語と他の規定で用いている用語との整合についてである。

主務大臣は、第1項に規定する勧告を受けた食品関連事業者が、前項の規定によりその勧告に従わなかった旨を公表された後において、なお、正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかった場合において、食品循環資源の再生利用等の促進を著しく害すると認めるときは、食料・農業・農村政策審議会の意見を聴いて、当該食品関連事業者に対し、その勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができる。

上記は、食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律第9条第3項の規定である。
「食品循環資源の再生利用等(「食品循環資源の再生利用並びに食品廃棄物等の発生の抑制及び減量」の略称(同法第3条第1項参照))の促進を著しく害すると認めるときは」のように、一定の規制権限を発動する場合に、行政庁なりが一定の事実等を認識することを要件とすることがあるが、この文言は、同法の目的規定にも書かれている(「食品循環資源の再生利用並びに食品廃棄物等の発生の抑制及び減量に関し基本的な事項を定める」)。
この部分が、原課の案だと、条例の中で初めてお目にかかる文言であったりすることがよくあったが、どのような文言にするか結構悩む部分でもある。そのときは、目的規定に書いてある文言を借りてきたりしたこともよくあった。
各規定の文言について、目的規定の文言を意識することで、用語の整合がとれ、形式的にきれいな条例になるのではないかという気がする。