定義規定に規定する用語(1)

本題に入る前に、なぜこのようなテーマを書こうと思ったのかについて、まず記載しておきたい。
以前記載した「定義規定を置く場所」で別表中の用語の定義に関して記載したときに、tihoujitiさんから、短文の例規の第3条を表形式にした場合に、その表中の用語の定義を第2条で書くかどうかについてコメントをいただいたが、その時は次のように記載した。

条の表にする場合、私だったら、やはり表に備考等を付して定義するか、その条の第2項で定義することを考えると思います。

表中の用語を定義する場合には、私であれば、体裁等を考えると第2条に定義規定は設けないだろうという考え方は今でも変わっていない。だが、条中に表を用いないものも含めて短文の法令の場合に、第2条に定義規定が置かれているのがどの程度あるのか気になったので、調べてみると、10条以下のものだと89本、5条以下だと22本(3条:6本、4条:7本、5条:9本)であった*1。短文の法令にはほとんど定義規定は置いていないのではないかと思っていたので、結構あるのだなあというのが印象であった。
ところで、どのような用語を定義規定で定義するのかについては、前田正道『ワークブック法制執務』(P74)*2では、次のように記載されている。

法令の内容が複雑であり、かつ、その法令において、その用語が重要な意義を有する場合、あるいはその用語の用いられる度数が比較的多い場合には、……定義のための規定が設けられ、その他の場合には、……法令の規定中で括弧を用いて定義することとするのが普通である。

しかし、実際には、どの用語を定義規定に置いて、どの用語を条文の中で括弧を用いて書くかの判断に迷うことが結構あったので、参考までに5条以下の条数の法律で、定義規定でどのような用語が定義されているのか見てみることにした。
そうすると、どのような用語を定義規定で定義するかについて、1つの考え方を提示できそうな感じがしたので、そのことについて、次回以降で記載することにしたい。

*1:目的規定等がなく第1条が定義規定になっているものや、第2条が解釈規定等になっていて第3条以下に定義規定があるものを含めている。総務省法令データ提供システム(平成18年12月1日現在)による。

*2:法制執務研究会『新訂ワークブック法制執務』(P84)も同様