自治体の組織(6)〜各執行機関(特に長)の組織・②内部組織

内部組織*1についての地方自治法の規定をまず掲げておく。

地方自治法
第158条 普通地方公共団体の長は、その権限に属する事務を分掌させるため、必要な内部組織を設けることができる。この場合において、当該普通地方公共団体の長の直近下位の内部組織の設置及びその分掌する事務については、条例で定めるものとする。
② 普通地方公共団体の長は、前項の内部組織の編成に当たつては、当該普通地方公共団体の事務及び事業の運営が簡素かつ効率的なものとなるよう十分配慮しなければならない。
③ (略)

直近下位の内部組織について、なぜ条例で規定することとされているかは、「自治体の組織(1)〜はじめに」でも触れたように、理論的な説明はできないと思うが、それを抜きにすれば、直近下位の内部組織は、とりあえず条例で規定すればいいことになる。
それ以外の内部組織については規則等で規定することになろうが、そのすべてを規則で定めるかどうかは、いろいろと考え方があるところであろう。自治体における基本的な活動の単位は「課」であろうから、最低限「課」までは法規である規則で定めるべきである。それ以下の「係」等については、次のようなことを踏まえて、規則で定めるか訓令等で定めるかを考えるべきであると思う。

  • 組織をすべて規則で定めていれば、組織についてはその規則をみればすべて分かるので、そうした一覧機能を重視するかどうか(ただ、この分かりやすさは、どちらかと言えば職員にとってという意味が大きいと思うが)。
  • 職を、どの形式の例規で定めるのかにもよるが*2、どの単位の組織(「課」なのか「係」なのか)に置くこととするか。また、他の例規で職を引用している場合には、どのような形式の例規なのか。

あとは、具体的に書くだけということになるが、その際に気をつけないといけないことは、事務の分掌を明確にすることだとよく言われた。つまり、ある事務が、どこの組織で行うのか分からなくてもいけないし、また、例えばAという組織でもBという組織でも行えるように読めてもいけないということである。ただ、これはあくまでも自治体内部の問題であり、また委任とか兼務といった制度もあることからすると、国と違って自治体における事務分掌は、もともとファジーになることを予定しているとも言えるので、どの程度神経を使って規定するかは、程度問題かもしれない。

*1:前回(「自治体の組織(5)〜各執行機関(特に長)の組織・?出先機関(その2)」)触れたように、出先機関であっても条例で設置しないものについては、法的には内部組織という扱いをするのであろうが、ここでは、それは念頭に置かない。

*2:都道府県については、地方自治法施行規程第18条の規定により、原則として規則で定めることとしている。