条名が本則と通し条名になっている附則をそうでない附則へ改正する例

tihoujitiさん(http://d.hatena.ne.jp/tihoujiti/20070718)が附則の全部改正について取り上げているが、全部改正の手法をとっているのは技術的な理由があるのではないかと思い、法律で附則の全部改正をしているものを衆議院のホームページ(制定法律)(http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index.htm)で検索したところ*1、次の3例があった。

  1. 国家公務員等に対する退職手当の臨時措置に関する法律(昭和25年法律第142号)附則第9項の規定による退職職員に支給する退職手当支給の財源に充てるための特別会計等からする一般会計への繰入及び納付に関する法律(昭和25年法律第62号)附則の改正
  2. 社会保険診療報酬支払基金法の一部を改正する法律(平成14年法律第168号)の規定による社会保険診療報酬支払基金法(昭和23年法律第129号)附則の改正
  3. 食品衛生法等の一部を改正する法律(平成15年法律第55号)第2条の規定による食品衛生法(昭和22年法律第233号)附則の改正

1では、改正前は施行期日の規定しかなかったもの(項番号なし)を、改正後は2項建ての附則としている。このような改正は、現在では、施行期日の規定に見出しと項番号を付して新たに1項追加するという形をとるのであろうが、当時の立法技術との兼ね合いがあるのかもしれない。
2及び3では、改正前は本則と通し条名になっていたものを、改正後はそうでないものとしている。しかし、この改正も、現在では、次の「郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」第14条の規定による郵便法附則*2の改正のような方法がとられるのが一般的ではないか。

郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成17年法律第102号)
 (郵便法の一部改正)
第14条 郵便法(昭和22年法律第165号)の一部を次のように改正する。
    (略)
 第86条第1項中……に改め、同条を附則第1条とする。
第87条中……に改め、同条を附則第2条とする。
第88条を削る。
第89条中……に改め、同条を附則第3条とする。
第90条から第92条までを削る。

もちろん、附則の条名が本則と通し条名になっている例規がなければ、このような改正方法を知っている必要はないのではあるが。
<追記>2008.1.13
条名が本則と通し条名になっている附則をそうでない附則に改める方法は、法制執務研究会『新訂ワークブック法制執務』(P575〜)に記載がある。

*1:「附則を次のように改める」で検索した。

*2:改正前の郵便法は、第86条から第92条までが附則だった。