一部改正の例規を改正する例規の立案(5)

改正規定のとらえ方については、前回までに、河野久『立法技術入門講座3法令の改め方』の分類に基づき記載してきたが、それをまとめると原則として次のように考えていけばいいのではないかと思っている。
○ 改正規定における段落を1つの改正規定と考える。
○ 改正規定の表現に忠実に表現する。
では、最後に、具体的な改め文をどのようにするかである。これは、基本的には通常の一部改正と同じ要領で行っていけばいい。
まず、「一部改正の例規を改正する例規の立案(1)」で記載した次の例の改め文がどうなるか考えてみる。

<改正前>
第2条に次の1項を加える。
2 (略)
<改正後(1)>
第2条第2項を同条第3項とし、同条に次の1項を加える。
2 (略)
<改正後(2)>
第2条に次の1項を加える。
3 (略)

○ (1)の場合
『第2条に1項を加える改正規定中「第2条」を「第2条第2項を同条第3項とし、同条」に改める。』
○ (2)の場合
「第2条に1項を加える改正規定中同条第2項を同条第3項とする。」
(1)は、通常の一部改正の際に改めたい文言を捉えて改正していくのと同じやり方である。
(2)は、通常の一部改正の場合に第2項を第3項にするときと同じ考え方である。一部改正例規の一部改正として考えた場合に、第2項を第3項にするという考え方が成り立つのかどうかは多少疑問がないではないが、合理性を考えれば認めていいのであろう。
さらに、上記の例で改正後の内容が第2条に2項を加える内容としたい(「第2条に次の2項を加える。」として、第2項と第3項を追加することとしたい)のであれば、『第2条に1項を加える改正規定中「1項」を「2項」に改め、同条第2項の次に次の1項を加える。』としてから、改行して追加したい第3項を書くことになる。なお、この場合は、「同条に次の1項を加える」とはしていないようである。さすがに条の末尾に項を加える場合とは違うと考えているのであろうか。
その他、改正規定の全部を改める場合は、「第○条の改正規定を次のように改める。」として改正後の改正規定を書くことになるし、改正規定を削る場合は、「第○条の改正規定を削る。」とすればいいことになる。
そして、改正規定を追加したい場合には、その直前の改正規定を捉えて、「第○条の改正規定の次に次のように加える。」として、追加したい改正規定を書くことになる。この場合に、「次の改正規定を加える」とする例もあったかもしれないが、「1改正規定」とか「2改正規定」のような表記はし難いので、号の細分を追加する場合と同様に「次のように加える」とすることでいいのではないだろうか。