「経過する日」と「経過した日」

「経過する日」と「経過した日」の違いは、ある程度法制執務をやった人にとっては当たり前のことなのかもしれない。しかし、私は、当初は漫然と使っていて、その違いをあまり意識していなかったということもあるので、ここに書き記しておきたい。
違いは、用例を見比べると一目瞭然である。同一法令でともに用いられているものを次に掲げる。

市町村の合併の特例等に関する法律(平成16年法律第59号)
第5条  (略)
2〜11  (略) 
12 合併協議会設置協議否決市町村を包括する都道府県の知事は、基準日の翌日から起算して十三日を経過した日以後速やかに、すべての合併協議会設置協議否決市町村に係る前項後段の規定による報告の有無をすべての同一請求関係市町村の長に通知しなければならない。
13〜33  (略)
第14条 市町村の合併(……)の日の前日において、当該市町村の合併に係るすべての合併関係市町村が地方自治法第284条第2項又は第3項の規定により合併関係市町村以外の地方公共団体(以下この項において「他の地方公共団体」という。)と同一の一部事務組合又は広域連合を組織している場合においては、同法第286条第1項本文又は第291条の3第1項本文の規定にかかわらず、当該市町村の合併の日から当該一部事務組合又は当該広域連合の規約が変更される日(当該市町村の合併の日から起算して6月を経過する日までの間に当該規約の変更が行われない場合にあっては、当該6月を経過する日)までの間に限り、当該一部事務組合又は当該広域連合を当該合併市町村及び当該他の地方公共団体が組織する一部事務組合又は広域連合とみなし、当該一部事務組合又は当該広域連合は、当該合併市町村の区域における事務について、従前の例により行うものとする。
2〜6  (略)

基準時点以前を指したい場合は「経過する日」とし、それ以降を指したい場合は「経過した日」とするわけである。
この基準時点はともに同じで、例えば「1月1日から起算して3日を経過する日○○」としても「1月1日から起算して3日を経過した日△△」としても、基準時点は1月3日24時=1月4日0時と同じである。だが、基準時点以前を指したい場合には、1月1日から3日を経過してはいない(3日間に含まれている)1月3日までとするわけだから(したがって、「○○」は「まで」となる)、「〜経過する日」となる。これに対し、基準点時点以降を指したい場合には、1月1日から3日を経過してしまっている(3日間に含まれていない)1月4日からとするわけだから(したがって、「△△」は「から(以後)」となる)、「〜経過した日」となる。