例規の形式(11)〜要綱(その4)

3 要綱の審査
要綱は、例規審査部門で審査すべきものなのだろうか。
もちろん、要綱を例規の一形式と位置付けるのであれば、当然例規審査部門で審査を行うのであろう。そして、藤島・要綱(P68)は、次のように要綱についても例規審査部門で審査をすべきといった趣旨のことを述べている。

平成15年6月に大阪府内の全32市(大阪市を除く。)に対して、要綱の位置付け等に関する調査を行った結果……によると、要綱を条例、規則等を補完するものとして、例規に準じた位置付けをし、法制担当部局が審査している自治体は、18市で約半数である。逆に言うと約半数の自治体においては、具体的な位置付けや基準、審査もなしに、担当課の判断で、要綱の制定改廃が行われ、それに基づいた行政運営が行われていることになる。

しかし、要綱を例規審査部門で審査すべしという考え方は、事実上要綱が果たしている役割に比してその体裁が不適当であることからくるのであって、「例規の形式(8)〜要綱(その1)」で記載したとおり、要綱を「行政における内部的な事務処理規範であって規程形式又はそれに準じた形式を用いているもの」と考えると、必ずしも要綱の審査が必要ということにはならないであろう。
以前、要綱の規定をどのように解釈したらいいか分からないとして相談を受けたことがある。原課限りで作った要綱であり、文理では何とも言いかねるものであったので、都合のいいように解釈したらどうかといったようなことを言ったことがある。このケースは、純粋な内部事項を定めた要綱であったからそのような対応をしたのだが、内部規範である要綱として適当な事項を定めている限り、今までの運用等を考慮して適宜解釈すれば、それで問題ないのではないだろうか。
もちろん、要綱の審査は、やらないよりはやった方がいいことは間違いない。しかし、その際には、事務の合理性・効率性を併せて考えるべきである。そのような観点からすると、要綱の作成に当たって、その内容が要綱で定めることが適当か、つまり条例・規則等で定める必要はないのかといった点を確認するために例規審査担当部局が協議を受けることとするようなシステムは考えるべきだとは思う。